お坊さんだけが知っている、12月8日の秘密

撮影:ogawa

 12月に入り今年も終わりに差し掛かった。万人にとってこの時期は慌ただしい。私ごときも立て続けに忘年会の誘いを受け、年末の掃除に、年賀状の用意などなど、一年間で一番忙しい時期であることを改めて感じる。クリスマスも控えている。とにかく忙しい。「師走何ぢや我酒飲まむ君琴弾け」と書いたのは幸田露伴である。振り回せずまったりと年末を迎えたい気持ちは今も昔も同じようである。

 中でもお坊さんはこの月において忙しいと言われる。12月の別名「師走」の由来も走り回り僧から取っているという。沙弥として寺に出入りしている者としても確かに実感もする。しかも除夜の鐘などもあり年末の最後の瞬間まで師走である。

 師走は、僧が走り回るに対して、一般の日本人はどうかと言うと、宗派の行事以外で、仏教的な何かに想いを馳せることはない。実は12月8日は、仏教徒にとって記念すべき日である。少なくとも日本の仏教にとってである。

 12月8日は何の日と聞かれたら、ビートルズファンなら、ジョン・レノンが、ニューヨークの自宅(ダコタ・ハウス)の前でファンに射殺された日と答えるに違いない(1980年)。その約40年前の1941年に日本軍が、真珠湾攻撃し、日本が米英に宣戦布告した日と思い出す人もいるに違いない。

 そんな中、基本的に日本の僧侶だけが知っている「12月8日は何の日?」がある。「実はこの日は、ゴーダマ・シッダルタが悟りを開いた日、つまりブッダとなった日、日本語で成道の日と言われている。ブッダガヤの菩提樹の下で瞑想を続けていた当時、35歳の時であったゴーダマ・シッダルタが、この日の明けの明星が輝く頃に、ついに悟りを開いたと言われている。

 実は、世界のほとんどの仏教は、ブッダの「誕生」と「成道」と「入滅」をまとめて記念する ウィサック祭を毎年5月に盛大に祝う。

<ブッダと過ごすゴールデンウィーク>

 それに対して、日本はそれらの3つのことをそれぞれを別けて記念する世界でも珍しい国である。そして日本は、仏教徒が知らず、僧侶だけがブッダの成道を讃える珍しい仏教国でもある。

 数字を覗いてみるとする。仏教徒の数が、文化庁が宗教法人に対して行った宗教統計調査によると、約9000万人もいるという。それに比べてキリスト教系などはわずか294万人にとどまる。

 仏教の国でありながらブッダの成道の12月8日に宣戦布告した日本。仏教徒でありながら成道を祝わず、キリストの誕生日を祝っている日本人。外国人は、日本に来て驚くことは多々ある。在日30年だが、まだまだたくさん残っているようである。