実戦でもロシア軍にダメージを与えている小型民生品ドローンからの爆弾投下

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

2022年10月に入ってからはロシア軍によるイラン製神風ドローンでのウクライナ首都キーウの民間施設や一般人を標的にした国際人道法（武力紛争法）を無視した攻撃ばかりが目立って報道されている。だがウクライナ軍もドローンを使用してロシア軍への攻撃をやめていない。

ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」の使用が目立って報道されていたが、「バイラクタルTB2」だけでなく、攻撃ドローンとしてはポーランド政府が提供しているポーランド製の「WARMATE」、米国バイデン政権が提供している米国製の攻撃ドローン「スイッチブレード」も実戦で活用されて、多くのロシア軍の戦車や輸送車両などに攻撃を行って破壊している。ウクライナ製の「PD-1」による攻撃、さらにウクライナ軍のドローン部隊「エアロロズヴィドカ (Aerorozvidka)」が開発しているウクライナ製の攻撃ドローン「R18」による爆弾投下もロシア軍への夜間の攻撃に貢献している。

そしてウクライナ軍が多く活用しているのが小型民生品ドローンだ。小型民生品ドローンは監視・偵察のために利用されていることがほとんどだが、ウクライナ軍では以前から民生品ドローンに爆弾を搭載してロシア軍に投下させたり、ドローンごと突っ込んでいき爆破したりしている。実戦でも小型民生品ドローンはロシア軍の戦車や輸送車、塹壕などに爆弾を投下してロシア軍にダメージを与えるのに寄与している。そのような民生品ドローンを攻撃ドローンに改良して爆弾投下をしたりしているのが、ウクライナの若者たちだ。

米国のメディアCNNが民生品ドローンを改良して攻撃ドローンに変えているウクライナの若い兵士らを報道している。どこにでもあるような民生品ドローンに、爆弾を搭載して攻撃ドローンに改造しており、標的を攻撃する際のシミュレーションを行っている。報道の中でも「スタートアップのような場所に兵士が集まりドローンの改良を行っている」と紹介されている。またウクライナの若い兵士が「ウクライナには兵器や弾薬が不足しているけど、ウクライナ軍には創造性（クリエイティビティ）があります。このような改良を行って新たな攻撃ドローンを作っていかないといけません」と語っていた。

▼米国CNNが報じていたウクライナの若者の攻撃ドローン製造

安価で代替機が豊富な小型民生品ドローン

大型ドローンの「バイラクタルTB2」に搭載している大容量の爆弾は大型軍事施設や大型の戦車などへの攻撃には向いている。そしてこのような大型ドローンはコストも高く、大きいのでロシア軍に迎撃されて破壊されてしまう可能性も高い。

輸送車や歩兵戦闘車であれば爆弾1個でも十分に破壊できるので、小型の民生品ドローンからの投下でも威力はある。また爆弾を搭載した小型のドローンが大量に上空に現れて、爆弾を投下してくるのは、かなりの脅威である。そして小型ドローンといえども、このように爆弾を搭載しているので発見されたら迎撃されてしまう。だが小型民生品ドローンなので安価で迎撃されても代替のドローンがたくさんある。

今までは民生品ドローンで投下する爆弾は1個か2個程度と少量だったので、大型の戦車や地対空ミサイルなどを完全に破壊したり、ロシア兵を殺害することは難しかった。だがウクライナ軍は工夫や改良を重ねて民生品の小型ドローンにも小型爆弾を多く搭載して落下させる方法を考案して、すでに実戦で活用しておりロシア軍に打撃を与えている。

今回のウクライナ紛争では、様々なドローンが戦場で多く使用されている。今まで攻撃ドローンは軍事用に特別に開発された中規模や大型のドローンで、高価なものだった。だがこのように、誰もが入手できる小型民生品ドローンでも簡単に爆弾を搭載して投下させて、敵軍に大きなダメージを与えることができることが証明された。

▼ウクライナ軍によるドローンでのロシア軍戦車への爆弾投下