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西日本を中心に渇水、取水制限もはじまる。効果的な節水方法は?

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
(写真:アフロ)

西日本を中心に渇水が深刻化し、各地で取水制限もはじまっています。

「西日本中心に渇水が深刻化 ダムや冬の味覚に影響 みかん農家から困惑の声も…」(テレビ朝日/2023年11月22日配信)

主な取水制限

 野村ダム(西予市野村町野村) 11月21日午前9時から農業用水を10%削減。(八幡浜市HP

 高梁川水系 主要6ダム(河本、高瀬川、小阪部川、新成羽川、千屋、三室川) 11月14日から上水道2%、工業用水5%、農業用水20%削減。(岡山県HP

 銅山川3ダム(新宮・柳瀬・富郷:四国中央市) 11月10日から工業用水25%削減。(愛媛県HP

 石手川ダム(松山市) 11月16日から農業用水33.3%、かんがい用水5%削減。(愛媛県HP

 佐波川ダム(山口市)、島地川ダム(周南市) 11月13日から水道・工業・農業用水の各10%削減。

 自治体では市民に節水を呼びかけています。たとえば松山市では「1人1日バケツ2杯20リットルの節水」の協力を求めています。ここでは具体的な節水方法についてお話ししていきたいと思います。

・漏水の確認

 そもそもの話ですが、水道管から水漏れしているケースがあります。漏水を止められると節水効果は高いです。家庭の水道メーターを確認しましょう。家中の蛇口を閉め、水を使っていないのに、パイロットが回っていたら、どこかで漏水しているということですから、水道局に連絡して調査してもらいましょう。

「おいしい水 きれいな水」橋本淳司
「おいしい水 きれいな水」橋本淳司

・蛇口から出る水量を調整

 水量は水圧を調整するつまみ(止水栓)で増減させることができます。止水栓の形状は器具によって違うが、以下を参照してください。

著者作成
著者作成

・蛇口の開け閉め

 蛇口を普通程度に開けた場合、30秒間で6リットルが流れていきます。たとえば、歯磨きを終えて、口をゆすいでいるときに、水を流しっぱなしにすると6リットルの水が無駄になるというわけです。コップにくむだけで5リットルの節水ができます。1日3回歯磨きする人は15リットルの節水になります。

「おいしい水 きれいな水」橋本淳司
「おいしい水 きれいな水」橋本淳司

・台所での節水

 節水型ノズル、節水型の蛇口などを使用すると使用量を大幅に削減できます。節水型ノズルのなかにはBubble90のように最大95%の節水を実現し、使用感は変わらないものもあります。水を出しっぱなしにせず、野菜や食器を「ため洗い」するのも効果的です。

・風呂での節水

 風呂桶いっぱいにお湯をはると200リットルになります。半分の水位なら100リットル。4分の1なら50リットルとなります。なるべく少量のお湯で風呂に入り、体や髪を洗う際に風呂のお湯でまかない、足し湯もしなければ大きな節水になります。

 シャワーの場合は、1分間に10リットルのお湯が出る。なるべく短時間ですます、こまめに止めることで節水できます。節水型シャワーヘッドの使用も効果がある。一般的な節水シャワーヘッドの節水効果は35%程度、手元スイッチ式だと50%程度の節水効果があるとされています。

「おいしい水 きれいな水」橋本淳司
「おいしい水 きれいな水」橋本淳司

・トイレでの節水

 トイレは原則として1回だけ流しましょう。古いトイレの場合、「大」と「小」で5リットル程度の水量が違う(節水型トイレは2リットル程度)ので、きちんと大小の使い分けを行いたいです。

・風呂の残り湯をトイレに使う

 トイレのタンクに合った量のバケツを用意し、そこに風呂の残り湯を移して使用すると節水になります。タンクに移すのが面倒な場合は、小を流すときバケツの水を使用してもよいでしょう。

・風呂の残り湯を洗濯に使う

 風呂の残り湯の有効活用はとても重要です。掃除などに使えますが、選択も可能です。残り湯は「洗い」のみで使し、「すすぎ」は水道水で行います。残り湯の雑菌が気になる人は、そもそも風呂の入り方を工夫すれば、湯に雑菌が入りにくくなります。タオルを湯につけない、フタを閉めておく、お湯に浮いた髪の毛やゴミは取り除く、体を洗ってからお湯に入るなど、できることをやってみましょう。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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