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「デトロイトが俺を強くする!」無敗のヘビー級がKRONKで調整中

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)

 20勝(19KO)1分け無敗のヘビー級ファイター、アプティ・デバエフはキャンプ地にミシガン州デトロイトを選んだ。コロナウィルスの猛威で様々な興行が延期されているが、今のところ3月28日の試合は行われる予定だ。場所は、ネバダ州ラスベガス、MGMのパークシアター。

 デバエフの対戦相手は、29勝(25KO)2敗のオーストラリア人、ルーカス・ブロウネ。同ファイトは、この日のセミファイナルに組み込まれ、SHOWTIMEで放送される。

 デバエフのアメリカでのファイトは、今回が5回目。ブロウネは初。身長196センチ、リーチ2メートルのデバエフに対し、ブロウネは、身長、リーチ共に196センチ。

Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)
Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)

 デバエフは、去る2月22日にデオンテイ・ワイルダーを下したタイソン・フューリーhttps://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200225-00164459/https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200208-00159913/と同じ環境に身を置き、調整を続けている。

Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)
Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)

 このロシア人ファイターは語る。

 「デトロイトでのトレーニングが俺を強くしている。新たな発見が色々とあるよ。自信もついたし、いい経験になっている。特にかなりパワーが増したね。以前より攻撃的な選手になった気がする。対戦相手を叩きのめすだけでなく、終わらせてやるぜ」

Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)
Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)

 場所や人は変わったが、デバエフがキャンプを張るKRONKジムとは、ご存知、トーマス・ハーンズ、ミルトン・マクローリー、マイク・マッカラム、マイケル・モーラー、ウラジミール・クリチコそしてレノックス・ルイスが汗を流した場所だ。名門ならではのスピリッツが受け継がれている。

レノックス・ルイスを指導するエマニュエル・スチュワード 撮影:著者
レノックス・ルイスを指導するエマニュエル・スチュワード 撮影:著者

 「KRONKでのジムワークは午前中に、心肺機能を高めたりコンディション作りのトレーニングは夜やっている。試合時には完璧な状態にもっていくよ」

エマニュエル・スチュワードの甥、シュガーヒル。Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)
エマニュエル・スチュワードの甥、シュガーヒル。Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)

 当初デバエフは、昨年9月にフューリーと拳を交え判定まで粘ったオット・ワリンと戦う筈であった。が、ワリンの負傷により試合が流れ、ブロウネとの10回戦にサインした。

 「キャンプはとてもいい感じで進んでいる。いつも通り、素晴らしいファイトをお見せする」

Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)
Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)

 特筆すべきはデバエフにとってブロウネ戦が、2020年に入ってから3戦目である点だ。1月10日、2月21日、そして3月28日と、まるでグリーンボーイのようにリングに上がり、KOを重ねている。

 「だからいい状態を保てるのさ。」

Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)
Photo:Terrell Groggins (My Art My Rules)

 「ルーカス・ブロウネ戦の勝利は自分にとって、非常に重要なものとなる。今日のヘビー級は活気があるだろう。多くのビッグネームがいる。俺もその一人だと確信しているよ。ブロウネの映像は2~3試合見た。タフだし、経験豊かだよね。楽しみで仕方ない。ファンが喜ぶ、目を見張るようなファイトをお届けするよ」

 試合は勿論だが、個人的に注目するのは現在のKRONKジムを切り盛りするシュガーヒル・スチュワードの働きぶりだ。ワイルダーvs.フューリーIIのような戦略を見せられるか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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