プレミア12 「ベルデス・グランデ」の快進撃。メキシコ、スーパーラウンド連勝で東京五輪を射程に
「挙国一致体制」を構築したメキシコ野球界
前回大会では、プロ・アマ間の軋轢から出場辞退騒動も起こしたメキシコ。しかし、「雨降って地固まる」。その後、アマチュア統括団体・メキシコ野球連盟と国内トップリーグのメキシカンリーグが「挙国一致態勢」を構築し、年代別のナショナルチームの強化に乗り出した。プロによるトップ代表は、2016年秋、今年春と2度にわたって来日、計4試合で2勝2敗の五分の星を収めている。
この春のテストマッチでは、国内リーグ、メキシカンリーグの選手で構成した代表チームで臨んだが、今回も「メキシカンリーグ・オールスター」が基本路線だ。これに「日本組」のエフレン・ナバロ(元阪神)とクリスチャン・ビジャヌエバ(元巨人)、それに2013年に中日、2016年にオリックスでプレーしたマット・クラーク(レオン)らの元メジャーリーガー、2016年秋の侍ジャパンとの強化試合でホームランを放ったエステバン・キロス(パドレス3Aエルパソ)らMLBのプロスペクトが加わる。
地元メキシコ・グアダラハラで行われたオープニングラウンドでは、メジャー予備軍のアメリカを撃破するなど3連勝でスーパーラウンド進出を決め、東京に乗り込んできた。そして千葉での初戦の台湾戦を完封勝ちした。
「ベスデス・グランデ」の大進撃
そして昨日。初戦を侍ジャパン相手に惜敗したオーストラリアとの対戦。ともにオリンピック出場権を獲得にするには負けられない一戦となった。この試合を落とすと、本大会でのアジア・太平洋枠の獲得に黄色信号がともるオーストラリアに対し、オリンピック出場権をアメリカと争うメキシコは、この試合を取れば東京行きへ大きく前進する。
試合は、1回裏、今シーズンのメキシカンリーグ北地区優勝に貢献したユカタン・レオーネスのジョナサン・ジョーンズの先頭打者ホームランで先制。4回にもクラークの2ランで2点を追加したメキシコは、投手陣も、今シーズン、アメリカ・3Aで5勝を挙げたエデュアルド・ベラ(ウィンターリーグ・メヒカリ)が5回、この春にも来日し、今シーズンメキシカンリーグ8勝のマニー・バレダ(ティファナ)が2回、先発、リリーフにフル回転でモンクローバのメキシカンリーグ優勝に貢献したアダム・キンタナ、メジャー通算496試合に登板しているフェルナンド・サラス(フィリーズ)が各1回とオーストラリア打線を完封した。
注目の日墨決戦
そして今日、メキシコ代表・「ベルデス・グランデ」は侍ジャパンと相まみえる。
これまで投手力に課題があると言われていたメキシコだが、ここまで5試合の総失点は5点。スーパーラウンドに入ってからは2試合連続の完封勝ちだ。ここまで、とくに序盤には打線が湿りがちな日本だが、今大会のメキシコはリリーフ陣も充実している。先制を許すようなことがあれば、苦しい戦いになる。
打線の方も、これまで出てきた名前のほか、今シーズンメキシカンリーグ出場67試合で30本塁打を記録したホセ・バルガス(アグアスカリエンテス)らの強打者も控えている。ディフェンス面でも、菊池(広島)にひけをとらないと言われているキロスと、メジャーの有望株が集うこの秋のアリゾナフォールリーグに参加したハビエル・サラサール(デュランゴ)の二遊間は侍ジャパンにとっても脅威だ。
昨夜のアメリカ戦を落としたことで、侍ジャパンにとっては、決勝トーナメント進出には負けられない試合となる。
両軍の先発は、日本は今永(DeNA)、メキシコはメジャー通算40勝のオラシオ・ラミレス(ティファナ)と発表されている。ラミレスは今シーズンメキシカンリーグでの32回のマウンドのうち、先発は1度のみ、細かな継投で初ものに弱い侍ジャパン打線を翻弄する作戦に出てくると思われる。
(写真はすべてWBSC提供)