北朝鮮はミサイル開発だけでなく、住宅建設も早い! 変貌する首都・平壌の街並み!
現在、来日中の米国のトマス・グリーンフィールド国連大使は国連安保理制裁委員会の専門家パネルがロシアの拒否権行使により今月30日で閉鎖されることから北朝鮮の制裁決議違反を監視する新たな枠組みを作るため14日から17日まで国連安保理非常任理事国の韓国を訪問していた。
国連で対北制裁を主導しているグリーンフィールド大使は訪問先の韓国でも「北朝鮮は経済、民生を顧みず、核とミサイル開発に没頭している」と、訴えていた。
韓国滞在最終日の昨日も韓国大手紙「中央日報」とのインタビューで「ロシアに武器を売った代金で国民を腹一杯食べさせるのではなく新たな殺傷兵器生産のために使っている」と、金正恩政権を激しく批判していた。
北朝鮮が核とミサイル開発のため経済を顧みず、民衆を苦しめているというのが国際社会の常識となっているが、北朝鮮は折しもグリーンフィールド国連大使の訪韓中の16日に平壌の和盛地区に新たに1万世帯の住宅を竣工し、金正恩(キム・ジョンウン)総書記がテープカットをする写真を公開していた。
国営の「朝鮮中央通信」によると、竣工式で金総書記は「僅か3年間で3万世帯をはるかに超える近代的な住宅を打ち立てた」と述べ、動員した平壌市民の前で満面に笑みを浮かべ、胸を張って見せていた。
北朝鮮には2500万人が貧富の格差は別にしても日々暮している。ショーウィンドーと揶揄されている平壌市だけでも少なくとも200万人以上の人民が生活している。人民に食べる問題だけでなく、住居も担保、解決しなければならないのは当然のごとく、国家の責務である。
国際社会では2021年1月に開かれた労働党第8回大会で金総書記が「国防発展5か年計画=兵器システム開発5か年計画」を打ち出したことだけが注目されているが、経済についても「新たな5か年計画期間に人民の食衣住問題を解決し、何としてでも突破口を開き、人民が肌で感じることのできる実体的変化と確信をもたらすことが我が党の確固たる決心である」と述べ、住まいの問題を解決するため2025年までに毎年1万世帯、計5万世帯を建設することを決定していた。
北朝鮮は実際に党大会から2か月後の2021年3月23日に平壌市の松花(ソンファ)通り(地区)に1万世帯住宅建設に着工し、2022年4月11日に完成させていた。
外観は華やか、かつ立派で、近代的な80階超高層住宅や便益サービス施設が建設されていた。内装や電気・水道など設備がどの程度完備されているのか定かではないが、僅か1年で建てたのは驚きだった。
続いて2022年2月12日に和盛(ファソン)通り(地区)に同じく1万世帯住宅建設に着手し、これも1年後の2023年4月16日に竣工させていた。その間、2021年4月から2022年4月の間に普通江川岸の中区瓊楼(キョンル)洞に800世帯の段々式住宅も建設していた。
段々式住宅は科学者や教育者ら国家の功労者らに与えられていたが、その中に北朝鮮の名物女性アナウンサー、李春姫さんも含まれていた。
そして、今回、和盛地区に第二段階として新たに1万世帯の住宅が建設されたわけだが、近くには太陽宮殿や大城山があるこの地区では今年2月にさらに1万世帯の住宅建設が始まり、来年4月には完成する見込みである。住宅は平壌だけでなく、農村振興を加速させるため農村でも建設が進められている。
北朝鮮の貿易収入も海外出稼ぎ労働者の賃金も含め外貨はすべて核とミサイル開発に注ぎこまれているとして、国際社会に制裁強化を呼び掛けている手前、韓国や米国などはこうした北朝鮮が仰々しく宣伝する経済分野の「成果」を額面通り受け入れるわけにはいかない事情がある。何よりも国連安保理が10回も、それも安保理史上最強の制裁を掛けている手前、疲弊している筈の北朝鮮が経済発展を遂げるのはあり得ないと信じて疑っていない。
そうした背景もあって、北朝鮮に限っては国際社会ではネガティブ報道、情報一辺倒だが、写真を見る限り、首都平壌に限っては年々街並みが変貌していることは間違いないようだ。
北朝鮮はミサイル開発も速いが、突貫工事にせよ、住宅建設も実に早い。その潜在力は凄まじいものがあるが、何よりもこの資金は一体どこから出ているのだろうか?