ユニクロ敗訴判決から考える。「ブラック企業」と呼ばれないための対策とは?
結果を求めるがゆえに「ブラック企業」と呼ばれてしまう
「ブラック企業」という言葉がますます注目を集めています。厚生労働省は9月から、若者の離職率が極端に高い「ブラック企業」の実態調査に乗り出すと発表しました。また、先日、週刊文春を訴えていた「ユニクロ」が敗訴。会社側が現場に「サービス残業」をはじめとする過剰労働を強いていたか、そのような事実があったにもかかわらず黙認していた可能性が高まっています。
私は現場に入り込んで目標を達成させるコンサルタントです。経営陣、管理者は結果を出さなければならないため、あらゆる策を考えようとするものです。その結果、「ブラック企業」だとレッテルを貼られてしまってはやり切れません。なぜそのようになってしまうのか。「ニューロロジカルレベル」を使い、簡単に解説していきます。
ニューロロジカルレベルとは
ニューロロジカルレベルとは、意識の階層モデルのことを指します。
■ ニューロロジカルレベルの5階層
1.アイデンティティー
2.信念・価値観
3.能力
4.行動
5.環境
1.アイデンティティーは、「私は~である」で表現できます。
2.信念・価値観は、「私の価値観は~である」。
3.能力は、「私の能力は~である」。
4.行動は、「私の行動は~である」。
5.環境は、「私の環境は~である」。
このように解釈するとわかりやすいでしょう。上司が部下を指導するときは、まず底辺の「5.環境」を整え、上位層の「1・2・3」を承認したうえで、「4.行動」にフィードバックするのです。したがって、その反対をすれば組織風土は乱れ、最悪の場合「ブラック企業」と呼ばれてしまうかもしれないのです。
つまり「お前はバカだ」などと言って、相手の「1.アイデンティティ/人格」を否定したり、「君の信頼しているものが間違っている」と、相手の「2.価値観/信条」を否定し、「あなたはセンスがない」などと、相手の「3、能力」を否定すれば、お互いの関係は著しく悪くなります。さらに、コンプライアンスを守らず「5.環境」を乱せば、現場の従業員から訴えられても仕方がありません。上位概念である「1.2.3」が承認されていないからです。
結果を出すためには萎縮してはダメ
ブラック企業と呼ばれず、従業員、スタッフが前向きに活き活きと働いてもらい、結果を出すためには、まず「5.環境」を整えることが先決です。法律を遵守するのです。ルールは守りましょう。そのうえで、上位概念の3つを常に承認していきます。そして「4.行動」のみにフィードバックしていくのです。
「あなたはとても素晴らしい人だ。あなたの考え方も共感できるし、将来性も高い。ただ、先週のあなたのお客様に対する態度はよくないと思う。次回からは気をつけていこう」
言葉にしなくとも、経営陣、管理者はこのような態度をすべきでしょう。ただ「ブラック企業」と呼ばれないため、パワハラだと言われないために、現場の指導に対して管理者層が萎縮してしまっては企業活動に支障が出てきます。法令遵守はもちろん、正しい指導方法を身に付け、常に結果の出せる企業体質にしていきたいものです。