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NY原油5日:OPEC総会を受けて、材料出尽くし感から買い戻し

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比1.13ドル高

始値 57.99ドル

高値 59.20ドル

安値 56.83ドル

終値 59.13ドル

石油輸出国機構総会(OPEC)が開催されたが、イベントリスク消化後のショートカバー(買い戻し)が優勢となり、期近主導で反発した。

OPEC総会では、日量3,000万バレルの生産目標が維持された。実際の産油量は既に3,150万バレル水準に達している模様だが、生産調整の動きはみられず、OPECとしては今後もシェア維持を重視して大量供給体制を維持する方針を鮮明にした形になっている。ただ、事前のマーケットでは生産目標を実際の産油水準まで引き上げる可能性も指摘されていただけに、今回のOPEC総会に対しては強気派よりも弱気派の失望の方が強かった模様。サプライズとまでは言えないが、OPEC総会に向けて売り込んできていた向きが、イベント紹介でショートカバーに動いている。特に、週末を控えていることもあり、売りポジションの利益を一旦確定させる動きが優勢になった。

もっとも、米雇用統計を受けて為替相場が改めてドル高方向に振れる中、原油相場を取り巻く環境は強気とは言い難い。季節要因から米原油在庫に対して減少圧力が強まり易くなっていることはポジティブだが、OPECの大量供給で国際需給が緩む中、少なくとも需給要因から大きく値位置を切り上げる展開を想定することは難しい。このまま為替相場がドル高方向に回帰すれば、60ドル台回復の可能性は一段と低下し、これまでのドル安で上昇してきた反動が、相場を下押しする可能性が高い。需給面の買い材料は乏しいだけに、ドルが急落前の高値水準を回復すれば、50ドル台割れを試すことも十分に可能な相場環境と評価している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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