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これが「ホワイト企業」!? ホワイト企業とは何なのか

横山信弘経営コラムニスト
「ブラック企業」ではなく、「ホワイト企業」に就職したい……

「ホワイト企業」の定義とは?

特に若者の離職率が高い企業が「ブラック企業」と呼ばれ、その存在を問題視した政府も対策に乗り出しています。それほど「ブラック企業」という名称が一人歩きしている感があります。

バレンタインデーのお返しにホワイトデーがあるのと同様に、ブラック企業と対極の存在を「ホワイト企業」と命名する動きが出てきました。ブラック企業の反意語として定義づけるのであれば、労働環境がよく、若者の離職率が低い企業が「ホワイト企業」と呼ばれることになるのでしょう。実際に「ホワイト企業」ランキングに入った300社がある雑誌の特集で公表され、その一覧を拝見しました。誰もが知っているようなネット企業、大企業が名を連ねています。これらの企業は「ブラック企業」の対極にあるわけなのですから、さぞかし見習うべきところがあるのでしょう。しかし本当にそうなのでしょうか?

見せかけだけの「ホワイト企業」を見破れ!

私は現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。中小、中堅企業の経営者、大企業の幹部からも日々相談を受けます。労働環境に問題がなく、若者の離職率が低いからといって、業績が安定しない企業は膨大にあります。幹部や管理者は現状に危機感を抱いているのに、現場の若手がまるで危機感を覚えていないという組織も多いのです。

また、直近の業績が良くても、それが一時的なものであるか、それとも再現性の高いものかの見極めはとても重要です。一時的に高業績であっても、3年、5年経過して急降下してしまっては安心して働き続けることができません。昨今、高い収益を誇っていたグリーが希望退職者を募集し、大幅なリストラに踏み切りました。ミクシィも上場以来初の赤字決算を公表しました。このように、どんなに破竹の勢いで業績を伸ばしてきた企業でも、外部環境の急激な変化についていけず、経営を悪化させるケースもあるのです。

それでは、業績が不安定になりそうな要因は何を目安にすればよいのでしょうか? 要因はもちろん多様にあるのですが、私がここで取り上げたいのが、ある物事に対する「依存度」

● 特定の企業に「依存」していないか?

● 特定の商品に「依存」していないか?

● 特定の人物に「依存」していないか?

● 特定の既得権益に「依存」していないか?

どんなに大企業でも、シャープのように液晶事業に資本を集中させたため、事業の依存度が高まり、リスクの高い経営を強いられました。大企業の下請け的存在の企業も、ある歌姫のCD売上に依存したレコード会社や、カリスマ経営者によって支えられる企業も、「依存度」という意味では危険信号です。電力会社やガス会社などは、まさに既得権益に依存していると言っても過言ではありません。

依存度が高い企業がなぜ不安定になりやすいかというと、ひどい場合は、経営が成長・安定しているのが「自分たちの実力だ」と勘違いしてしまうことです。そこで働く従業員が依存していることに慣れてしまうからでしょう。経営努力を怠り、外部環境の変化についていけなくなります。そうして簡単に業績を急落させるのです。

参考になる企業の目安は?

ベストセラー「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者である坂本光司氏は、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」という賞を創設しています。

この賞を受賞したいと経営努力をしている企業経営者はとても多いのですが、応募資格はけっこうハードルの高いものになっています。

<応募資格>

● 過去5年以上にわたって、以下の5つの条件に該当していることとします。

人員整理、会社都合による解雇をしていないこと(東日本大震災等の自然災害の場合を除く)

● 下請企業、仕入先企業へのコストダウンを強制していないこと

● 障害者雇用率は法定雇用率以上であること(常勤雇用50人以上の場合)

● 黒字経営(経常利益)であること(一過性の赤字を除く)

● 重大な労働災害がないこと(東日本大震災等の自然災害の場合を除く)

この応募資格ほどハードルを上げる必要はありません。ただし長期間、業績が安定しなければ、良質な労働環境が保障されることなどあり得ないのです。就職活動をする人は見た目の派手さ、急成長している事実に振り回されず、自分だけの「ホワイト企業」を探してみてください。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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