函館のホテル朝食合戦【新たなラビスタ】登場で勢力図塗り変わるか?
函館ホテル朝食合戦
函館と海鮮グルメは切っても切り離せません。港町風情もあいまって胃袋も!?盛り上がる旅エリアになること必至であります。玄関口函館駅からベイエリアに向かって函館朝市が広がり、駅に降り立った時から海鮮ムード一色。そんな函館は観光都市としてのポテンシャルも高く、ゆえにホテルも充実のラインナップであり、ホテル朝食でも充実海鮮はもはやデフォルト。
かねてから北海道のホテル朝食は、“いくら合戦”といっても過言ではない様相を呈してきましたが、その口火を切ったのが函館朝市に続く函館ベイエリアのホテルでした。2008年に開業した「ラビスタ函館ベイ」の朝食ブッフェにいくら盛り放題が登場した際には、驚きをもって各種メディアに取り上げられ、函館ホテル朝食が全国区となりました。
その後、同じベイエリアの「函館国際ホテル」も人気朝食ホテルとして全国区の知名度に。ここでも突き抜けた海鮮メニューはトピックでしたが、さらにラビスタ函館ベイでは見られなかったステーキ実演など朝から豪華極まりない朝食でゲストを唸らせました。
さらに2019年開業の「センチュリーマリーナ函館」は衝撃的でした。海鮮はもとより充実内容のご当地グルメ、見せ方からブッフェ朝食でのキモであるゲスト動線に至るまで、開業後に初めて出向いた時の印象は強烈で、個人的にもいち早くテレビや雑誌などはじめ各種メディアで取り上げてきました。
ここ数年、そんなベイエリアの3ホテルが三つ巴のホテル朝食合戦様相という様相を呈してきたわけですが、合戦といいつつもその根底には「切磋琢磨してエリア全体を盛り上げていきましょう」という思いがあり、まさに“函館ベイエリアホテル三銃士”という表現がマッチするような、ホテルの懐の深さを感じたものでした。
後出しジャンケンホテルは強し
センチュリーマリーナ函館により、終止符が打たれたかに思われた函館ホテル朝食合戦でしたが、2021年に湯の川エリアへ開業した「函館湯の川温泉 海と灯/ヒューイットリゾート」は、センチュリーマリーナ函館を含めたこれまでの函館ホテル朝食を徹底研究、函館ホテル朝食合戦が湯の川温泉へ飛び火か!?と言われたほどの凄い朝食を提供しました。
開業に際して意識したのが、海を眺める露天風呂などの温泉施設とともに朝食の質だったといいます。ホテルによると「函館は、朝食のレベルが極めて高いことからゲストの朝食期待値も高い地」「特にベイエリアの3ホテルには負けられない」と料飲担当者とともに徹底して3ホテルをリサーチしたといいます。
センチュリーマリーナ函館も同様ですが、新規開業に際して従前のエリアホテルを徹底リサーチするのも函館ベイエリアホテル朝食合戦のリアル。まさに“後出しジャンケン”ならではのゲスト満足充足なのかもしれません。
人気朝食の提供の裏側
そんな函館ホテル朝食勢力図に新たな動きが。2023年2月にプレオープンしたのが「ラビスタ函館ベイANNEX」。そうです、先述の函館ベイエリアホテル朝食合戦の火付け役であったラビスタ函館ベイに新館が誕生したのです。開業直後に早速出向いてきました。
ところで、ラビスタといえば共立メンテナンスの運営ですが、ドーミーインでも知られる運営母体だけに、天然温泉大浴場やサウナへの飽くなき探究で知られますがそれは朝食も同様。そんな人気朝食の提供について、以前本社へ取材に出向いたことがありましたが、新規開業店舗の朝食についての話も驚きの裏側でした。
(以下既出記事から一部引用)ここに何を置くのか、提供はしやすいか、会場を見渡せる配置か、食材をチェックするルーティンか・・・などなど、豊富な経験から図面を起こすとし、当該店舗で想定されるビジネスユース、観光ユースの割合なども含めゾーニングや献立も検討されていきます。図面上の準備から、オープンが近づくとスタッフのオペレーションが決められていきます。
さらに開業が近づくと料理が全て並べられ、本社の事業部から現場スタッフ全員でゲストの動線を何度も確認するといいます。たとえば、5人並んだ時にはどうなるのかなど、想定される様々なケースでロールプレイングが続けられ修正がなされていきます。実際の営業での朝食提供に際しては、まず、テーブルの拭き上げや消毒を徹底、続いて炊飯、味噌汁など進められ、オープン直前には揚げ物などが用意されていきます。
料理の出し方、盛り付け、ディスプレイなどにはどのような工夫があるのかについては、器と料理の見た目を意識しつつ、ライティングも料理の見栄えが良くなるように設置するのは当然として、熱い物は熱く、冷たい物は冷たく、なるべく出来立ての提供と、和食、洋食のラインを分けゲストに分かりやすさと取りやすい配置もかなり配慮されています。とにかく最重視しているのが「お客様に残念な思いをさせないよう心がけている」ことといいます。(以上既出記事一部引用終わり)
ギュギュッと詰まった質を感じるラビスタ函館ベイANNEXの朝食
話をラビスタ函館ベイANNEXに戻して、実は同ホテルでは夕食の提供もスタート。先付けに始まり茶碗蒸しやしゃぶしゃぶなど続きますが、ディナーのメインは鮨。1度で5貫までのお好みオーダーバイキングにして(もちろん何度でも注文OK)ネタはもちろんシャリの香りに至るまでそのクオリティーに驚きます。
さて、そんなラビスタ函館ベイANNEXの朝食、数や見た目も勝負という印象のホテルブッフェ朝食合戦の世界という中で、会場のスペースも含めてギュギュッと“質”が詰まった印象です。料理クオリティーにはじまりゲスト目線の食器サイズに至るまでワンランク上を実感。
大きめのトレイに大振り皿、というスタイルはブッフェの定番でしたが、鮮やかな小皿を中心とした提供。なるほど、質を詰め込んだ朝食に大皿は必要ないのもしれません。汁物が集められたコーナーなども新鮮な見せ方です。
ただただ凄い、後出しジャンケンは強しを実感してきた函館朝食合戦でしたが、これは勢力図塗り変わるか・・・とにもかくにもゲストそれぞれに印象は異なるのもまたホテル朝食という中で、函館ホテル朝食やドーミーインの朝食を知るみなさんならどのように感じるでしょうか。
ラビスタ函館ベイANNEXで印象的だったメニューのひとつがオマール海老ビスクスープです。その後出向いたドーミーインPREMIUMの新たな店舗でも提供されていました。朝食から見るブランドカテゴリーのボーダレス化。ホテル最先端の現場で起こるイノベーションなのかもしれません。
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