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テレビ朝日『マツコ&有吉 かりそめ天国SP』で話題沸騰!北海道・函館ホテル朝食戦争とは!?

瀧澤信秋ホテル評論家
海鮮はもはや北海道ホテル朝食のデフォルト(筆者撮影)

函館ベイエリアのホテル朝食が熱い!

2月4日に放送されたテレビ朝日系列『マツコ&有吉 かりそめ天国SP』では、ロバート秋山さんが北海道・函館ベイエリアの3ホテルを巡り、朝食合戦の様相をレポートされていました。この番組企画については企画骨子から3ホテルのコーディネートに至るまでお手伝いさせていただきましたが、筆者へオファーをいただい端緒が執筆した以下の記事でした。

“日本一の朝食”を出す函館のホテル 宿泊客数を抑えてまで守ったモノとは?

(ITメディアビジネスオンライン/2021年6月)

イクラ盛り放題は当たり前? ホテル朝食“激戦区”の北海道で見た驚きの朝食原価

(ITメディアビジネスオンライン/2021年11月)

ベイエリアは函館の人気観光スポット(筆者撮影)
ベイエリアは函館の人気観光スポット(筆者撮影)

実は、函館ベイエリア朝食取材・情報発信に関しては、ブームの端緒となったラビスタ函館ベイの某局での番組紹介に遡りますが、Yahoo!ニュースでは2019年11月にもレポートしました。

朝食戦争に終止符か? 函館ホテル関係者に戦慄走る!

(Yahoo!ニュース(個人))

今回は上記記事の続編という位置づけで、テレビで放送された企画の深掘り的内容として、北海道=海鮮勝負といった向きもある朝食差別化の動きについてまとめたいと思います。

ベイエリア三銃士!?

放送では冒頭にトリップアドバイザーの「旅好きが選ぶ!日本人に人気の朝食のおいしいホテル2020」トップ10が紹介されていました。おさらいしておきます。

1(4)ホテルクラビーサッポロ(北海道札幌市)

2(1)ホテルピエナ神戸(兵庫県神戸市)

3(2)ラビスタ函館ベイ(北海道函館市)

4(5)ベッセルイン札幌中島公園(北海道札幌市)

5(-)函館国際ホテル(北海道函館市)

6(14)ベッセルホテル石垣島(沖縄県石垣市)

7(13)ホテル日航関西空港(大阪府泉佐野市)

8(初)センチュリーマリーナ函館(北海道函館市)

9(10)ホテルJALシティ宮崎(宮崎県宮崎市)

※括弧内は前年の順位。「初」はランキング初登場、「-」は過去にランクイン有。

北海道の5ホテルがランクイン、中でも函館からは3ホテルということで、いわば函館は朝食激戦区と言えるでしょう。放送で取り上げられたこの3ホテルは「ラビスタ函館ベイ」「函館国際ホテル」「センチュリーマリーナ函館」の“ベイエリア三銃士”ともいえる各ホテルです。

それぞれ全国区の知名度を誇るホテルにして放送ではライバル色が打ち出されていましたが、各ホテルの担当者に話を聞いてみると、朝食も含め互いに切磋琢磨しつつエリア全体を盛り上げているといいます。

ラビスタ函館ベイの充実海鮮コーナー(筆者撮影)
ラビスタ函館ベイの充実海鮮コーナー(筆者撮影)

前述の通り、ブームの火付け役がラビスタ函館ベイで提供された海鮮丼コーナーでした。盛られたいくらをたっぷりとご飯にかける光景は衝撃的で、その後もメディアで頻繁に取り上げられ、全国区の知名度となり朝食を目当てに多くの人々が押し寄せる人気のホテル朝食となりました。

ご存じの方も多いかと思いますが、ラビスタ函館ベイは人気ビジネスホテルのドーミーインと同一の運営会社です。ドーミーインも朝食に注力するホテルブランドとして知られますが、同じく北海道の「ドーミーインPREMIUM札幌」の朝食も充実の内容でメディアに大きく取り上げられていきました。

朝からステーキ実演も登場

海鮮からステーキまでライブ感ある充実の朝食(筆者撮影)
海鮮からステーキまでライブ感ある充実の朝食(筆者撮影)

そんなラビスタ函館ベイで注目された函館ベイエリア朝食事情に一石を投じたのが、ラビスタ函館ベイと海岸沿いに並ぶ立地の「函館国際ホテル」です。ラビスタ函館ベイ同様にブッフェ形式の朝食で、完全にラビスタ函館ベイを意識した充実の海鮮丼コーナーを設けました。さらに目の前でグリルされる“ステーキコーナー”まで登場、これはラビスタ函館ベイでは見られないサービスとなりました。

テイクアウトグルメでゆったり食べることも可能だ(筆者撮影)
テイクアウトグルメでゆったり食べることも可能だ(筆者撮影)

函館国際ホテルが、ラビスタ函館ベイ・後述するセンチュリーマリーナ函館と異なる点が、宿泊以外にも会議室、展示場などのコンベンション機能も備えるフルサービス型のシティホテルという点であり、より差別化を図るべく近年巨額を投じて客室ほか施設の大リニューアルを施しました。ホテルグルメという点でも、朝食以外にランチやディナーを提供する各種レストランも備えるだけにそのクオリティーは高く、ホテメルメイドのテイクアウトグルメも充実している点が特色です。

朝食戦争に終止符と話題になった新ホテル

日によっていくらは小鉢で提供されることもある(筆者撮影)
日によっていくらは小鉢で提供されることもある(筆者撮影)

ラビスタ函館ベイ、函館国際ホテルとまさにベイエリア2大ホテルで朝食合戦の様相を呈してきたわけですが、ここへ新たに加わったのが2019年5月開業の「センチュリーマリーナ函館」でした。このホテルの開業は、当時函館のホテル関係者に戦慄が走ったともいわれるほどで、事実、いまだサービスの種類や充実度も市内ホテルでは群を抜いているとまことしやかに囁かれています。

ブイヤベースも外せない(筆者撮影)
ブイヤベースも外せない(筆者撮影)

立地は、ラビスタ函館ベイ、函館国際ホテルよりも駅寄りで朝市へも至近。とはいえ、朝市で海鮮グルメを楽しむ必要がないほどの朝食クオリティーは圧巻の一言に尽きます。150品目以上の朝食ブッフェにして、海鮮メニューの充実度はもはやデフォルト的ですらあります。

時に海鮮にフォーカスするあまり、他の一般メニューが精彩を欠くといったケースに出合うのも北海道のホテル朝食ですが、センチュリーマリーナ函館の朝食ブッフェは、地産食材をふんだんに用いたご当地メニューやサービスへの評価も高く、朝からスパークリングワインのフリーフロー(飲み放題)の提供も特徴的です。

センチュリーマリーナ函館に分があった点といえば、既存2ホテルの朝食を研究し尽くしたいわば後出しジャンケンホテルという点でしょう。こうしたホテルの出現には既存ベイエリア2大ホテルも黙っているわけがなく、ベイエリア2大ホテル戦争から三つ巴合戦となり競り合い、エリア全体のポテンシャルもアップ、今回のテレビ特集に繋がっていきました。

朝食合戦が“湯の川エリア”へも飛び火!?

ディナーにはウニやボタン海老も登場(筆者撮影)
ディナーにはウニやボタン海老も登場(筆者撮影)

以上は、放送のまとめと既存レポートの焼き直しですが、前回の記事(2019年11月)で「湯の川温泉エリアでも新たな施設が増え、さらなる“後出しジャンケン”が誕生するのかにも注視したい」と締めくくったところ、まさにそうした動きが出てきました。ベイエリアの朝食合戦は湯の川温泉方面のホテルへも飛び火、中でも21年7月に開業した「函館湯の川温泉 海と灯/ヒューイットリゾート」は驚がくです。

(筆者撮影)
(筆者撮影)

こちらでは、ラビスタ函館ベイやセンチュリーマリーナ函館とは異なり、ディナーブッフェも提供していますが、海鮮ブッフェとしては希有な“ウニ”や“ボタンエビ”まで並んでいます。その他、カニ、イカといった定番メニューに加え、ツブ貝や、見るからに新鮮なカンパチなど数え切れないほどの海鮮が圧巻の光景です。

ディナーとはいえ、これだけの海鮮を提供するわけで朝食もしかり。さすがにディナーで提供していたウニやボタンエビはありませんが、イクラは当然、ブリ、マグロも高いクオリティーのものを提供しています。

さらに、センチュリーマリーナ函館ではスパークリングワインをフリーフロー提供と既述しましたが、函館国際ホテルでもワインのフリーフロー、海と灯ではスパークリングワインに加え、赤・白ワインもフリーフローの提供と、海鮮に続き朝からフリーワイン合戦も繰り広げられています。こうなると、やはりセンチュリーマリーナ函館を徹底リサーチして超えるブッフェで挑んできたのか?と見えなくもありません。

函館湯の川温泉 海と灯の大浴場(筆者撮影)
函館湯の川温泉 海と灯の大浴場(筆者撮影)

参考までに朝食からは逸れますが、今回紹介した4ホテルに共通するのが、眺望自慢の露天風呂付き大浴場という点であることも付言しておきます。

レベル高き北海道のホテル朝食!

ちなみに、番組冒頭で紹介されたランキングでは1位に札幌の高級ホテルである「ホテルクラビーサッポロ」が、ラビスタ函館ベイに続くランキング4位にはビジネスホテルの「ベッセルイン札幌中島公園」もランクイン、シティホテルからリゾート、ビジネスホテルに至るまで、北海道には高い評価を得ている朝食ホテルが多くあります。

ベッセルイン札幌中島公園の朝食(筆者撮影)
ベッセルイン札幌中島公園の朝食(筆者撮影)

函館に限らず、北海道全域でホテル朝食は相当なレベルにあり、旅人に素敵な朝時間を提供しています。

※記載の各ホテルの情報・写真は取材時のものであり、実際の利用に際しては感染拡大の情況に留意しつつ最新の情報を確認いただければと思います。

ホテル評論家

1971年生まれ。一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。ホテル評論の第一人者としてゲスト目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。人気バラエティ番組から報道番組のコメンテーター、新聞、雑誌など利用者目線のわかりやすい解説とメディアからの信頼も厚い。評論対象はラグジュアリー、ビジネス、カプセル、レジャー等の各ホテルから旅館、民泊など宿泊施設全般、多業態に渡る。著書に「ホテルに騙されるな」(光文社新書)「最強のホテル100」(イーストプレス)「辛口評論家 星野リゾートに泊まってみた」(光文社新書)など。

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忌憚なきホテル批評で知られる筆者が、日々のホテル取材で出合ったリアルな現場から発信する辛口コラム。時にとっておきのホテル情報も織り交ぜながらホテルを斬っていく。

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