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日本のはるか南で、いつ台風が発生してもおかしくない状況に

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

次々と熱帯低気圧が発生予想

天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)

本州付近では梅雨末期の大雨に警戒が必要な状況が続いていますが、日本のはるか南海上でも対流活動が久しぶりに活発となっていて、タイトル画像にある通り、フィリピンの東から南シナ海にかけて、雲頂高度の高い積乱雲が至る所で発生している状況です。

このうち南シナ海ではすでに熱帯低気圧が発生していますが、予想天気図にある通り、今後は北西方向へ進み、今夜以降ベトナムへ上陸し、あす16日(火)午後9時までには、消滅する予想です。ですからこの熱帯低気圧が台風へ発達したり、日本へ影響したりすることはほぼないとみられます。

一方、フィリピンの東で今夜までに低圧部が発生し、この低圧部はあす16日(火)午後9時までに、新たな熱帯低気圧へ変わる見込みです。この熱帯低気圧は今後、台風へ変わる可能性があるとみられます。さらにこの熱帯低気圧以外にも、フィリピンの東海上には積乱雲の塊が複数発生していて、今後いつどこで新たな雲渦が発生してもおかしくない状況といえます。

週末には日本の南に台風の計算が増加中

アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)
アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)

アンサンブル予報では、週末にかけて、日本の南海上で、熱帯低気圧や台風の発生を予想している計算が半数近くありますが、その場所や発達具合はまさにバラバラの状態で、週末にどのような状態となっているのかはとても不確実性が大きな状態です。

あくまでも参考ですが、上図は今週末21日(日)午前9時のアンサンブル予報の一部を抜粋したものです。左図は、あす16日(火)午後9時までにフィリピンの東で発生する熱帯低気圧が北上し、台風の勢力となって台湾付近へ北上する計算です。

一方、真ん中は、その熱帯低気圧はあまりは発達しないものの、新たな熱帯低気圧が東方で発生し、発達しながら北上することが計算されています。さらに右図は、その新たな熱帯低気圧がさらに発達し、日本の南へ北上してくる計算です。これらの計算はほんの一部で、この他、様々な予想が計算されていて、これは諸外国の計算でも、同じような状態となっています。

このように今後の予想は、まさにバラバラの状態ですが、ひとつ言えるのは、週末にかけて、日本の南海上では、いつどこで新たな台風が発生してもおかしくない状況になるということです。もし台風が発生すれば、台風3号ですが、統計史上、かなり遅い台風3号の発生となります。(関連記事

不気味な海水温の高さ、本州のすぐ南まで30度以上

海水温の状況(気象庁発表に筆者加工あり)
海水温の状況(気象庁発表に筆者加工あり)

気になるのは海水温の高さです。このところ、フィリピンの東から日本の南にかけては、台風などの熱帯擾乱がほとんどなく、太平洋高気圧に覆われて、強烈な日差しで海面が熱せられていたこともあり、広く平年より高くなっています。特に沖縄付近から本州の南海上にかけては、平年より2度以上高く、北緯30度付近まで海水温30度以上の海域が広がっています。

もし熱帯擾乱が発生すれば、この高い海水温の影響で大きく発達して、日本の南に進んでくる可能性があり、日本のすぐ南で、急発達することも考えられます。まさに不気味な高さの海水温となっています。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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