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【神戸市灘区】まるで坂のアート!イタリアから贈られた「イタリア広場」は震災復興モニュメントでもあった

斎信夫(いつき)WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

JR六甲道駅の南、灘区役所の隣に「イタリア広場」という名の広場があるのをご存知でしょうか?区役所を利用する灘区民にはおなじみの場所かもしれませんが、先日この付近を歩いている際にたまたま見つけ、「なんだこれ?広場といってもほぼスロープ?アートか何かなの?」と、その光景にちょっと驚きました。調べていくと、2005年に開催された愛・地球博や阪神・淡路大震災とのつながりも見えてきました。

「イタリア広場」があるのは、灘区役所の西隣、六甲道南公園の南側です。

広場というとだいたい真っ平らなところですが、なんとこの「イタリア広場」はスロープになっています。

スロープは2つあり、真ん中は抜け道のようになっていて木が植えられています。

広場というより、何かのモニュメントかアート作品のオブジェのよう。

上から海側を見下ろすとこんな感じ。

結構高低差がありますね。

一番高いところから山側を望むとJR六甲道駅、その奥に六甲山が見えます。

動画でどうぞ

実はこの「イタリア広場」は、日本と同じく地震が多いイタリアの建築家によってデザインされ、両国の友好の証として、そして震災復興のシンボルとしてイタリア側から無償で提供されたもの。青いタイルもイタリア製です。

神戸市が実施した国際コンペで2名のイタリア人女流建築家が最優秀賞を受賞。そのの依頼を受けたイタリアのアッソピアストレーレ社、エミリア・ロマーニャ州が「イタリア広場」を建築し、神戸市へ寄贈されたという経緯が。ただの広場ではなく、モニュメントやアート作品のように見えるのには、こういう理由があったのですね。

説明プレートには「この広場を1995年阪神・淡路大震災の犠牲者に捧げます。」などと記されています。

この広場を1995年阪神・淡路大震災の犠牲者に捧げます。
設計:ラウラ・マッシーノ建築士、バルバラ・アニョレット建築士
イタリア建築協会、外務省、イタリア文化省建築および現代美術局発起による日本におけるイタリア2001年記念広場国際設計競技優秀者

因みにこの作品の模型は、“自然の叡智”をテーマとし、121カ国4国際機関が参加した愛・地球博(2005年日本国際博覧会)のイタリア館に展示されていました。

愛・地球博の4年前、日伊両政府によるイタリア紹介事業「日本におけるイタリア2001年」開催時から計画されてきたプロジェクトで、2005年9月15日にイタリア館で、2005年9月17日に神戸市灘区のこの場所で除幕式が行われました。その際のプレスリリースはこちらから今でも読むことができます。模型の写真も。

その時のプレスリリースのPDFはこちら。

イタリアと日本の友好の証であり、震災復興モニュメントでもある「イタリア広場」。この海側から山側へ緩やかな傾斜が続くスロープは、神戸の海から山へと続く、坂の多い神戸の街をイメージしてデザインされたものなのかもしれませんね。

「イタリア広場」がある六甲道南公園自体も、震災復興市街地再開発事業の一環として2005(平成17)年9月に完成し、災害時の一時避難場所ともなっています。震災時に生活用水としても活用できる井戸やせせらぎ、仮設トイレ用下水施設、地下耐震性防火水槽等も備えられています。

イタリアが好きな方にとっては、この一面に敷き詰められたイタリア製の美しいタイルだけでも一見の価値がありますよ。

最後にもう一つ、イタリアつながりで以前の記事をご紹介。

神戸文化ホール近くにある「大倉山公園」には、イタリア・ローマのテルミニ駅近く、レパブリカ広場にあるエセドラ噴水を模して造られた噴水があります。

詳しくはこちらの記事を。

基本情報
スポット名:イタリア広場
住所:兵庫県神戸市灘区桜口町4丁目3-7
アクセス:JR六甲道駅から徒歩約3分

神戸市公園緑化協会 六甲道南公園

WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

兵庫県西宮市生まれの神戸育ち。テクニカルライターを経て、1998年より会社を設立しWEBクリエイター、フリーライターとして活動。数々の旅行関連サイトを企画・運営。LINEトラベルjp元編集者兼ライター。沖縄と北海道が大好きで6年半沖縄市に在住。海外は特に台湾が好きで渡航回数10回以上。「週刊日本の島(デアゴスティーニ)」専属ライター&フォトグラファーとして沖縄、兵庫、瀬戸内等の33の島の記事を執筆。こちらでは地元神戸市の魅力を、時には動画を交えてお伝えしていきます。X(旧Twitter)、Instagramでも、神戸の最新情報や記事でのこぼれ話、その他の旅行ネタなども発信。

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