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育休復帰面談で会社をイラつかせる女性の事例をご紹介。多くの女性は不安で仕方ない。お互いの努力が必要。

小酒部さやか株式会社 natural rights 代表取締役
面談のイメージ(写真:アフロ)

認可保育施設の選考結果が出て、4月の職場復帰を前に、上司への連絡や復帰面談をすることが多くなるこの時期。そのような場面で、女性社員側のマナーは大丈夫だろうか。私のもとに空気を全く読まない女性の事例が届いたので、ご紹介したい。

この女性は、育休を取得する前の面談など、すべての面談において夫も同席していた。

育休復帰の面談では、面接室に着くなり、

「すみません。トイレ行ってきていいですか?」

戻ってきても、ほとんど子どもをあやしている。

そして、「授乳していいですか?」とおもむろにケープを被る。

同席していた部長は、その空気を読まない女性の行動に、もうすっかり目がテン。

「痛っ!!噛んじゃダメでしょー。ちゃんと集中しようねー」と子どもに話しかけながら、片手にはスマホ。

驚くことに、授乳時間を正確に測っていた。

「まだ3分しか飲んでないよー」

上司はその様子を呆然と見ている。

女性の隣の夫は、温かく見守っている。

実績は入社して1年も満たない新人なのに、育休から復帰したら「温めていた新規事業を実現したい」という。

「けれど、子どもの生活リズムを考えて、20時に寝かし付けしなければ困る」などともいう。

面談後、部長は呟いた。

「どうしたら遠くの営業所に配置できるかねぇ・・・」と。

勿論、原職とかけ離れたあまりに遠い営業所への配置転換はマタハラだ。そのようなことをしてはいけないのは、この部長も十分認識している。けれど、この部長だって人間だ。このような気持ちになってしまうのも分かる。

こういう分かりやすい事例だけでなく、会社や上司をイラっとさせる言動を取ってしまうことは、もしかしたら意外とあるのかもしれない。

程度の差にはなるが、

「子どもとの生活を優先したい」

「土日くらいは家族でゆっくりしたいので(繁忙期の土日であっても)休みたい」

時として、こんな発言が会社側をイラっとさせてしまう場合がある。

けれど、多くの育休から復帰する女性の心境は以下だ。

・育休から復帰する時は、(一人目であっても二人目であっても)ただただ不安で仕方ない

・ずっと一緒にいた子どものことが、とにかく心配

・できると大口叩いてできなかったら会社に迷惑をかけるし、子どもも自分も辛くなる。だから、できることの6~8割くらいにセーブしようとする

・復帰して仕事に慣れてくると、意外と大丈夫なことに気づいたり、仕事の面白さに目覚めて少しずつ工夫することを覚えたり、良い変化が起こることも実は多い

復帰後の働き方は、当人が実践してみないと分からない。

受け入れる側の努力と、復帰する人の努力と、それぞれが必要で、それぞれに時間がかかる。

受け入れる側は、多くの女性が上記の心境であることを念頭におく必要がある。復帰する側は、休業中にフォローしてくれた上司や周りの社員への感謝を忘れず、自分が出来る仕事からまずはきちんとしていくという姿勢が必要だ。

お互いに根気よく向き合っていくことが、大切なのかもしれない。

株式会社 natural rights 代表取締役

2014年7月自身の経験から被害者支援団体であるNPO法人マタハラNetを設立し、マタハラ防止の義務化を牽引。2015年3月女性の地位向上への貢献をたたえるアメリカ国務省「国際勇気ある女性賞」を日本人で初受賞。2015年6月「ACCJウィメン・イン・ビジネス・サミット」にて安倍首相・ケネディ大使とともに登壇。2016年1月筑摩書房より「マタハラ問題」、11月花伝社より「ずっと働ける会社~マタハラなんて起きない先進企業はここがちがう!~」を出版。現在、株式会社natural rights代表取締役。仕事と生活の両立がnatural rightsとなるよう講演や企業研修、執筆など活動を行っている。

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