【宝塚市】古くて新しく、ダンディなのに癒されるまち宝塚をめぐる冒険、ショップにあります。
宝塚といえば歌劇に温泉、手塚治虫。まちがいではありませんが、実はほんの一部でしかありません。今回は、知れば知るほど面白い、宝塚の魅力をめぐる冒険にご案内します。
宝塚の魅力を発信するショップへGO!
JR/阪急宝塚駅から徒歩11分、手塚治虫記念館の向かいにある宝塚市立文化芸術センターは、ギャラリーやホワイエでの企画展示のほか、講座やワークショップ、マルシェなども開催される文化芸術の複合施設です。
こちらの1階にあるショップでは、宝塚ゆかりの作家さんや、宝塚の歴史や魅力を教えてくれるアートなグッズを取り揃えています。
宝塚をめぐる冒険その1 宝塚ゆかりの作家さんを楽しむ
アフリカ大自然の息吹が伝わるワイヤー&ビーズアート
まずご紹介したいのは、ショップマネジャーの浅井朋子さんが惚れ込んだというワイヤー&ビーズアート『ZUVALANGA(ズワランガ)』です。
ジンバブウェ人アーティストたちに出会い、ワイヤー&ビーズアートに魅せられた日本人のご夫婦が、南アフリカのヨハネスブルグに3年間滞在して修業を積みました。素朴なのにイキイキとして愛嬌たっぷりの動物たちは、老若男女を問わず大人気で、コレクションをする人もいるのだそう。
当ショップ以外では大阪の国立民族学博物館でしかみられない、貴重なアートです。
カフェスタッフに人気のハンドメイド帽子
続いては、実店舗販売は当ショップだけ、という『セミ―ジャ帽子店』さんのハンドメイド帽子です。
肌に優しいリネンの風合いは今の季節にぴったり。型崩れ防止の丁寧なステッチがつばに施されたマニッシュな中折れ帽は、これぞ宝塚モダンというべき一品。
残念ながらこの日は売り切れでしたが、三角形の帽子は、カフェスタッフに人気だそう。確かに清荒神のカフェで、店員さんがかぶっているのを見たことがあります!
ほかにも、文化芸術センターのロゴをデザインした松井桂三さんをはじめ、さまざまな作家さんの作品が販売されています。
懐かしの『宝塚ファミリーランド』を意識したセレクション
宝塚市立文化芸術センターは、2003年に惜しまれながら閉園した関西屈指のレジャー施設『宝塚ファミリーランド』の跡地に建てられました。
遊園地だけでなく動物園や植物園が併設され、まさに「家族で楽しめる」レジャー施設であったファミリーランドの人気は閉園後も根強く、2021年センター開催の『モダン宝塚のレガシー』展の一部として、一般から募集した『宝塚ファミリーランド写真展』には、多くの写真が集まったそう。なかには昭和10年に撮影された写真もあったのだとか。
動物や植物を意識した雑貨および書籍のセレクションは、宝塚ゆかりの作家さんを紹介しつつ、いまなお愛されるファミリーランドの記憶をつなぎたいという思いが込められています。
宝塚をめぐる冒険その2 いにしえの宝塚を探訪する
鉄道の開通も手伝って、明治頃から人気の温泉地となった宝塚。その後、小林一三によって宝塚歌劇や娯楽施設がつくられ、関西では屈指のレジャーゾーンとなりました。そのため、当時はたくさんの絵葉書がつくられたのだとか。
池に浮かぶボートや象など、娯楽場として親しまれていた雰囲気が伝わりますね。さらに下の写真、中央よりやや右側にある石碑にご注目。
「天然たんさん水この下あり」
と書いてあります。
蓬莱橋は、宝塚駅前の武庫川にかかる宝来橋(現在は五代目)のこと。いまはS字型になっていますが、むかし、この石碑の下には、天然の炭酸水が湧き出ていたそう。現在はほぼ同じ場所に、これまた宝塚発祥の炭酸水「ウイルキンソン」の自動販売機が設置されています。
イギリス出身のジョン・クリフォード・ウイルキンソンは、狩りの途中で立ち寄った宝塚で、湧出する炭酸源泉に遭遇しました。
その後、宝塚紅葉谷に炭酸水の瓶詰工場を設け、その裏山に外国人向けのタンサンホテルを開業するなど、宝塚にゆかりの深い人物です。そのウイルキンソン一家の物語と近代宝塚の歴史をまとめた「ウイルキンソンと近代宝塚」が、現在ショップで販売中です。
著者である宝塚市在住の郷土史家・鈴木博さん所有の貴重な写真や資料が掲載された本書は、2024年に上梓されたばかり。宝塚Lovers必読の一冊です。
さらにもうひとつ、宝塚温泉の歴史を探訪するとっておきの裏技をご紹介します。『ツレがうつになりまして。』などで知られる漫画家・細川 貂々(ほそかわてんてん)さんは、宝塚歌劇を愛するあまり宝塚の住民となって以来、宝塚温泉まつりのチラシやグッズを手掛けるなど活躍されています。
現在、当ショップで販売されている宝塚温泉まつり実行委員会のTシャツまたはトートバッグをお買い上げの方に「ナゾの湯のまち宝塚」の冊子をプレゼント中だそう。温泉の始まりから現在までが、貂々さんの楽しくわかりやすいイラストで解説されているほか、資料写真も掲載され、「そうだったのか!」と目からウロコの発見まちがいなしの一冊です。
宝塚をめぐる冒険その3 いまの宝塚を発見する
宝塚の魅力を伝えつづける宝塚Lovers
都市デザイナーであり、一級建築士でもある田村博美さんは、水彩画を通して宝塚の景観の美しさを紹介しています。
都市デザイナーの目でみつめスケッチした田村さんの描く風景には、空気が匂い立つような清潔なリアリティがあります。
また宝塚には、その発展の成果物として国登録有形文化財となる住宅が複数存在するのをご存じでしょうか。
センター近隣にある旧山田家と旧松本邸は、年に数回の期間限定(旧山田家は秋に1回、旧松本邸は年に2回)公開のため、見学するチャンスは少ないですが、田村さんの水彩画でその美しさの一端を見ることができます。
田村さんの足跡に興味が湧き、3年間にわたり宝塚市内を歩いて調査し作成したという「宝塚景観まちあるきガイドマップ2020」を購入しました。
マップによれば、宝塚はたぐいまれな3D立体景観都市なのだそう。
宝塚市内の地図と代表的な景観の写真とともに、甲山や六甲などの風景を楽しんだり、高碕記念館や巡礼道等の文化財・歴史にまつわるコースをたどるなど、様々なお勧めまちあるきが紹介されていました。
この地図を片手にまちを歩けば、宝塚の「いま」の魅力がたくさん発見できそうです。
宝塚市所蔵作品展の関連書籍も要チェック
このほかにも、現在開催中の『宝塚市制70周年記念展 宝塚コレクションー宝塚市所蔵作品展ー』で紹介中のアーティストの関連本をはじめ、まだまだ見どころがいっぱい。
「宝塚の良さをどんどん発信して、たくさんの方に知って欲しい」
と言う浅井さんをはじめ、まったくのボランティアで、どうにかして宝塚の魅力を伝えたいという宝塚Loversの思いがあふれたグッズの数々に、あらためて宝塚のことを知りたいと思った一日でした。
今年の夏は、まずは涼しい室内から、宝塚をめぐる冒険にチャレンジしてみてはいかがですか。
関連情報
宝塚市立文化芸術センター 1Fショップ
■ 場所:〒665-0844 兵庫県宝塚市武庫川町7-64
■ 営業日・時間:10:00~17:00 (13:00~14:00 close)
水曜日(センター休館)および不定休
■ お問合せ:080-5667-7151(ショップ担当)
■ 公式ホームページ (宝塚市立文化芸術センター)