鷹の育成新人3位→11位→5位→13位で継投。福岡高出身の井崎、ほろ苦デビューも「松坂級」の怪物素質
3月31日、福岡ソフトバンクホークス三軍とヤマエ久野 九州アジアリーグの定期交流戦がタマホームスタジアム筑後で行われた。
同リーグの大分B-リングスとの2回戦。前日は4-5で敗れたソフトバンクだったがこの日は打線が活発で、11-5のスコアで勝利した。
【3月31日 三軍定期交流戦 タマスタ筑後 251人】
大分 `000401000 5
ソフトバンク `30140120× 11
<バッテリー>
【B】●杉安、松田、長瀬、金城、新井――広畑、久保田
【H】大城、井崎、瀧本、田中怜、佐藤琢、◯佐藤宏――加藤晴、居谷
<本塁打>
【H】石塚
<スタメン>
【B】7藪 6川上 4今津 D白崎 9山下 3中谷内 5奥野 2広畑 8新太郎
【H】6川原田 7増田 8山本 9笹川 3石塚 2加藤晴 5伊藤 4藤野 D佐久間
<戦評>
初回、ソフトバンクは石塚の左越え2ランなどで3点を先取した。同点とされた直後の四回裏には石塚の内野ゴロの間に5-4と勝ち越すと、加藤晴のタイムリー、伊藤の2打席連続タイムリーで8-4と一気に突き放した。
六回には加藤晴がこの日2本目のタイムリー。七回は笹川の2点適時打でダメ押しした。
先発した大城は3回パーフェクトで後続へバトンをつないだ。6番手の佐藤宏も2回完全で、4奪三振と力強い投球を見せた。
大分は前日10安打を放った打線が3安打と沈黙。先発の杉安は4回8安打5四球で8失点(自責5)と苦しい投球となった。(了)
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井崎燦志郎の真っ直ぐがとにかく速い
ソフトバンクは育成ルーキー投手が次々と登板した。四回から育成3位・井崎燦志郎(福岡高校)、育成11位・瀧本将生(市立松戸高校)、育成5位・田中怜利ハモンド(帝京第五高校)、育成13位・佐藤琢磨(新潟医療福祉大学)がそれぞれ1イニングずつを投げた。
課題が露呈するマウンドになった。
井崎はいきなり5連続四死球と制球に苦しみ、結局4点リードをすべて吐き出して1回4失点。
瀧本は2死走者なしからヒットと四球でピンチを招いた。後続は打ち取って1回零封だった。
田中怜は先頭から三塁打、四球で走者を溜めて1失点。佐藤琢も2死を取ってから四球を与えた(結果は無失点)。
若田部コーチ「持ってるモノはみんないい」
それでも若鷹投手陣を預かる若田部健一三軍投手コーチは納得顔だ。「持ってるモノはみんないい。高卒組はみんな今日が初登板。次につながるかは、本人たちのこれからの練習次第にもなってくる」と振り返った。
筆者が特に注目したのが井崎だった。5連続四死球は痛恨に違いないが、大きくコースを外れたボールは少なかった。何よりストレートの強さが並の高卒新人クラスではなかった。この日は最速148キロをマークしたが、それ以上の力強さも感じられた。
若田部コーチも井崎の能力には舌を巻く。
「天性のものを持っているね。期待していますよ。高卒1年目であれだけのストレートを投げられる投手は久しぶり。松坂(大輔)以来の感じもするよ。今日は緊張して、何をやっているか分かんなくなったみたいだけどね。1イニング(37球)全部真っ直ぐだったし、1年目らしくていいんじゃない」
また、高卒新人が一気に登板したことで、ドラフト1位・風間球打や同3位・木村大成の初マウンドもより待ち遠しくなるところだ。ただ、若田部コーチは「コンディションを一時崩したところもあるし、今日のみんなと調整段階が違う。今の時点でいつ投げると明確には言えないな」と話した。
※写真はすべて筆者撮影