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【ジャズ生】打ち立てた記念碑を磨き直す新たなる総集編|守屋純子オーケストラ2016年定期公演

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、守屋純子率いるオーケストラの2016年定期公演。

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守屋純子オーケストラの2016年定期公演のタイトルは“プレイ・フォー・ピース・アンド・モアー!”。これは、このオーケストラが2015年10月に発表したアルバム『プレイ・フォー・ピース』にちなんでいる。

アルバムの制作というスペシャルなスケジュールが入ると忙しさは当然のように増すわけだが、守屋純子にとっての2015年は、忙しいだけでなく自身の経歴を塗り替えるほどの大きな仕事を遺したと言っても過言ではない年となったようだ。

というのも、徳川家康が亡くなって400年となるこの年、徳川家康公顕彰四百年記念事業のひとつとして行なわれた四百年祭の一環で岡崎市からの委嘱を受けた守屋純子は、「家康公ジャズ組曲」に取りかかった。

日本の歴史をモチーフにした本格的なオリジナル・ジャズ作品というありそうでなかった視点を持ち込んで完成したこの作品は、エピソードのゆかりの地における初演を成功させ、アルバムという“記念碑”に無事納められることになった。

そしてそこに“アンド・モアー!”というライヴならではの脚色を施そうというのが、今回の定期公演の大きな見どころとなるだろう。

あくまでも軸足をジャズから離すことなく、つまり必要以上に素材の力に頼りすぎずにオリジナリティを発揮していこうとするのが守屋純子オーケストラの魅力。

今回も“再演”の枠にとどまらない、スペシャルでサプライズな“アンド・モアー!”で楽しませてくれるに違いない。

では、行ってきます!

●公演概要

2月26日(金) 開場18:00/開演19:00

会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(東京・渋谷)

出演:守屋純子(ピアノ、アレンジ)、納浩一(ベース)、広瀬潤次(ドラム)、岡部洋一(パーカッション)、近藤和彦(アルト・サックス、ソプラノ・サックス、フルート)、緑川英徳(アルト・サックス)、岡崎正典(テナー・サックス)、アンディー・ウルフ(テナー・サックス)、宮本大路(バリトン・サックス)、エリック・ミヤシロ(トランペット)、木幡光邦(トランペット)、奥村晶(トランペット)、岡崎好朗(トランペット)、佐野聡(トロンボーン)、佐藤春樹(トロンボーン)、東條あづさ(トロンボーン)、山城純子(ベース・トロンボーン)

♪ 守屋純子セクステット◆家康公ジャズ曲披露

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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