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MLB ワールドシリーズ 日本人選出出場の可能性は?(2)出場だけなら青木、前田は登録から外れるかも

豊浦彰太郎Baseball Writer
出場するだけでなくそれなりの活躍も、となるとやはり田中だろう(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

(1)から続く

イチロー(と田澤)所属のマーリンズは今季も精彩がない。若いスターを数多く抱えるが、ジェフリー・ロリア・オーナーはここから巻き返しを図りフラッグディールで補強に走るより、主砲ジャンカルロ・スタントンの年俸が来季から跳ね上がる前に球団売却を決めてしまうことのほうに執着しているはずだ。今年もイチローの悲願は叶いそうもない。

ちなみにイチローは今季終了後契約が切れる。勝利よりも儲け?のマーリンズは、その年俸の安さとマーケティング効果でイチローとの契約を保持してきたが、新しい経営者に変わってもその方針が踏襲される保証はない。来季以降、他球団が獲得に乗り出す可能性もゼロではないが、その場合は戦力的には見劣りする球団が、若手選手へのロールモデルとしての役割やレジェンドとしての話題性を評価してのものとなると思われる。この稀代の安打製造機も、残念ながらワールドシリーズには縁がないまま球歴を終える可能性は高いだろう。

そうなると、今季のワールドシリーズ出場の可能性では青木と前田がリードで田中がそれに次ぐと見るべきか?いや、事情はそれほど簡単ではないだろう。

今季精彩を欠く前田の場合、ここから先相当奮起しないと、仮にドジャースがワールドシリーズに駒を進めたとしても、そもそもポストシーズンの登録枠から外れる恐れがある。5人の先発投手でローテーションを組む公式戦とは異なり、短期決戦のポストシーズンでは4人いや、場合によっては3人の先発投手で廻していくのが一般的だ。そうなると、ローテ5番目の投手はロングリリーフとしてブルペンに回るか、登録枠から外される。

メジャーでは登録枠を外れても物理的なベンチ入りは可能だ。したがって、昨季のカブスの川崎宗則(現ソフトバンク)のように、応援団?として試合前のセレモニーには参加するも出場資格はないという、ある種屈辱的な立場となることも十分あり得る。

その点、そもそもレギュラー半として、チーム内の戦力的位置付けが明確な青木のほうが、出場の可能性が高い。ナ・リーグ球団本拠地での試合と、相手先発投手が左腕の場合以外はスタメンで起用されるだろう。しかし、そんな青木にも懸念点は皆無ではない。基本的にアストロズは、来年以降の左翼手は現在マイナー所属のプロスペクトのデレック・フィッシャーと考えているはずだ。そして、彼をポストシーズンで起用するために8月末までに昇格させるだろう(すでに6月に一度メジャーを経験している)。そして、彼が9月に目覚ましい活躍を見せるようなことがあると、青木のポストシーズン出場のというより登録自体に黄色信号が灯ることにも決してあり得ない訳ではない。

そうなると、チームがワールドシリーズに進出した場合、中心選手としての役割が期待できるのはやはり田中となる。「出入り」の激しい登板が続いた田中だが、それこそ、ヤンキースが先発投手を3人くらい爆買い(もはや死語か?)しない限り、シリーズでも先発投手としての活躍が求められるはずだ。ここでの結論は、単に出場なら青木が可能性1番手、それなりの活躍となると、田中がイチ押しで上原が続くとしておこう。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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