「鬼滅の刃」にも出てくる上弦・下弦ってどんな月? 夜空の観測ポイントを解説
上弦の月と下弦の月
月がまったく見えない日を新月(または朔)と呼びます。新月から三日月を経て、次第に満ちていき満月(または望)となり、その後は次第に欠けていき新月に戻るまでがおよそ1ヶ月(約29.5日)です。このため、月齢15前後の夜には満月を楽しむことができます。
月齢7の頃は月の満ち欠けが半分になり、弓の形に見えることから「上弦の月」と呼ばれています。この頃は夕方から夜半前に南から南西の方角に半月状の月を見かけることが多く、下の図のように月は弓の弦を上にした形で見えることから、「上弦」と呼ばれます。今週木曜日(2021年11月11日)が次の上弦の月です。夕空で探してみましょう。
一方、満月の後7日(月齢22)前後になると、夜が明けてから午前中の青空の中、西の空に傾く月を見かけることがあります。この時、弦は下向きなので「下弦の月」と呼ばれています。次の下弦は11月27日(土)ですが、夜半過ぎに東の空から昇ってくる月なので、夕方や夜半前には見えないことを覚えておいてください。
アルファベットのDの形が上弦(でっかくなる月)、Cの形が下弦(小さくなる月)と覚えておくと、これから満ちる月なのか欠けていく月なのかの区別が簡単です。
今月の場合、上弦の月と下弦の月の中間となる満月(11月19日)が、夕刻ほぼ皆既月食に近い深く欠けた部分月食となりますので、こちらもお見逃しなく。
月の満ち欠けを楽しもう
月の満ち欠けの理解は意外に難しいものですが、月は都会からでもどこからでも観察が可能ですので、ぜひ、機会があれば眺めてみたいものです。月は毎晩、その形を変えていきます。三日月、上弦の月、満月、下弦の月、そして新月と、そのサイクルは約29.5日。この周期を一朔望月と呼びます。太陰太陽暦(旧暦)や太陰暦では、新月を含む日をその月のついたちとしています。一方、「月齢」は新月となる瞬間を月齢=0.0とするため、新月を迎える時刻にもよりますが、その日の呼び名と月齢がずれることが多々起こります(下図参照)。例えば、三日月というと月齢3.0前後の月と思いがちですが、ついたちの2日後のその月の三日目の月なので月齢2.0前後の場合が多いのです。このように満月(月齢15の月)も十五夜の月とは限りません。
日本では月の形によって毎晩見える月にそれぞれ呼び名があります。十五夜の翌晩から順に、十六夜(いざよい)月、立ち待ち月、居待ち月、寝待ち月と呼びます。これは月を愛でようという際に、東の空から月が昇ってくる時刻が日々次第に遅くなっていくことを示しています。
毎日の月齢や日本各地での月の出、月の入りの時刻などの情報は、国立天文台暦計算室のウェブページにて知ることが出来ますのでご活用下さい。