ヴェンダース監督作『PERFECT DAYS』(公開中)を知人が大絶賛しています。「主演の役所広司さんがトイレ清掃員で公園のトイレを清掃するだけ、それだけだが、それがいい」。作品中で清掃される公衆トイレが渋谷区にあります。そのトイレは子供たちの遊び場でカラフルに輝いています。

公園の主役のひとつになっているカラフルな公衆トイレ

「公衆トイレ」は男女お互いが見えないように白い閉ざされた施設で中が暗い。そのイメージを幼少期の記憶に残さないことは案外大切なことではないか？と、カラフルでキレイなトイレが公園に建っているのを見て感じました。子供の柔らかな気持ちに寄り添うようなかわいい存在。トイレのドアを公園の誰もが見守ることができるデザイン。

公園の一角に暗いトイレを大人が子供に押し付けてきた時代が終わる先駆けとして東京都渋谷区内17カ所にこのような公衆トイレが設置されるプロジェクトが実行されました。

THE TOKYO TOILET

プロジェクト名はTHE TOKYO TOILET 。16人の建築家やデザイナーが参画。

はるのおがわコミュニティパークトイレは一番好きなデザインです。同じく坂 茂氏デザインの代々木深町小公園トイレ（富ヶ谷1-54-1）もカラフルで可愛いです。

トイレを巡る「THE TOKYO TOILET SHUTTLE TOUR」が登場

2022年、2023年にTHE TOKYO TOILETを巡るバスツアーの募集がありました。2023年は建築やデザイン関係者あるいは学んでいる学生が対象でした。今回は募集対象は絞られていません。集合場所が渋谷エクセルホテル東急5Fメインエントランス、ここは海外の観光客の大きなスーツケースが並ぶロビーです。海外から参加しやすいツアーになっています。

自転車で簡単に巡ることができるTHE TOKYO TOILET

設置されているのが公園や緑道ですので、自転車で巡ることができます。渋谷区は坂道が多いので、できれば北側（笹塚）から廻ると下り坂でいけます。

ヴェンダース監督作『PERFECT DAYS』はいつ撮影された？

渋谷区民にとっては見慣れたTHE TOKYO TOILETたちですが、映画はいつ撮影されたのか気づきませんでした。トイレの前でファッション誌やアイドルや俳優さんのグラビア撮影がされているのは見かけます。トイレの前で撮影？と思われるかもしれませんが、THE TOKYO TOILETはすべて目を引く美しいデザインでトイレを超えた存在です。

子供たちが遊ぶ公園に優しい顔のトイレが並ぶのを見ると、自分の幼少期にもTHE TOKYO TOILETがあったら良かったなと思いました。そしてTOKYO TOILETは夜になると素晴らしいライトアップがされます。一切手を触れることなくドアロックする機能を持つトイレもあり、深堀するとまだまだ魅力が詰まっています。