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ゲーム機やタブレット型端末の小中高校生における利用状況

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ゲーム機などの小中高校生の利用実態は

男子小学生では6割が携帯ゲーム機を利用している

多様化するデジタル機器は大人だけでなく子供達の間にも浸透しつつある。ゲーム機や携帯音楽プレイヤー、タブレット型端末などはどの位の割合使われているのだろうか。内閣府が2016年3月に確定報を発表した「平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査」の結果から確認していく。

次に示すのは据置型ゲーム機や携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤー、タブレット型端末、さらには学習用タブレットの利用動向。この項目では該当端末でインターネットのアクセスをしているか否かは問われていない。

↑ ゲーム機・携帯音楽プレイヤー・タブレット型端末の利用状況(2015年、全体比、インターネット機能の利用の是非を問わず)
↑ ゲーム機・携帯音楽プレイヤー・タブレット型端末の利用状況(2015年、全体比、インターネット機能の利用の是非を問わず)

小中高校生全体では据置型ゲーム機が1/4近く、携帯ゲーム機が4割強となり、すでに携帯ゲーム機がゲーム機としては主流の立場にあることが分かる。また男女別では男子の方が、学校種類別では低年齢の方が利用率が高く、歳を経るに連れてゲーム機からスマートフォンなどにシフトしていく。

一方携帯音楽プレイヤーだが、中学生になると利用率が伸び2割に届く。高校生ではさらに上昇し、3割に達する。こちらは男女別では女子の方が利用率が高く、高校生ではゲーム機の利用率をはるかに上回るなど、「男子はゲーム機」「女子は携帯音楽プレイヤー」の構図が見えてくる。

また学習用タブレットはタブレット型端末同様、小学生の利用率が一番高い。これは対応する教材が主に小学生から中学生向けであることが主要因。また高校生はすでにスマートフォンを所有している場合が多いことから、多分に利用目的がかぶるタブレットの所有が認められない事例もあるのだろう。

ゲーム機などによるインターネット利用の実態

昨今のゲーム機をはじめとしたデジタル機器はインターネットにアクセスも可能で、それを売りとしている面もある。また、パソコンやスマートフォンを利用できる機会を持たない子供には、救世主のような存在に違いない。そこで各端末利用者における、該当端末でのインターネット利用率を調べた結果が次のグラフ。例えば携帯音楽プレイヤーは総数で37.4%とあるので、携帯音楽プレイヤーを使っている小中高校生の4割近くは、その端末でインターネットにアクセスしていることになる。

↑ ゲーム機・携帯音楽プレイヤー・タブレット型端末によるインターネット利用状況(2015年、対該当機種保有者比率)
↑ ゲーム機・携帯音楽プレイヤー・タブレット型端末によるインターネット利用状況(2015年、対該当機種保有者比率)

中学生までは携帯ゲーム機の方が据置型ゲーム機よりもネットアクセス率が高いが、高校生になるとほぼ横並びになる。遊ぶゲームのタイプが変わるからだろうか。携帯ゲーム機によるネットアクセス率は男女とも中学生でピークだが、据え置き型ゲーム機では男女とも高校生の方が利用率が上がっているのが興味深い。対応ゲームソフトの違いからかもしれない。

タブレット型端末では学校種類・性別の差異はほとんど無い。他方、学習用タブレットでは男女差は無く、学校種類が年上になるに連れて利用率が上がる傾向がある。学習用タブレットを導入している世帯で、子供の成長に連れて保護者が利用を許可する可能性が高くなるのだろう。

最後に、各端末の利用率そのものを考慮した、各属性の全体比。例えば総数の学習用タブレットの値は2.7%とあるので、小中高校生全体で2.7%(37人に1人)は学習用タブレットを使ってインターネットにアクセスしている計算になる。各端末の利用実態、インターネットのアクセスに与える影響を知る上では、良い参考値といえる。

↑ ゲーム機・携帯音楽プレイヤー・タブレット型端末によるインターネット利用状況(2015年、対各属性全体比率)
↑ ゲーム機・携帯音楽プレイヤー・タブレット型端末によるインターネット利用状況(2015年、対各属性全体比率)

パソコンやスマートフォン以外では小学生から中学生にかけては携帯ゲーム機がインターネットアクセスへの主な窓口で、タブレット型端末がそれに続く形となる。中学に入ると音楽への興味関心が高まり、携帯音楽プレイヤーの利用率が大きく上がり、高校生では携帯ゲーム機と肩を並べる形となる(女子高生ではむしろ携帯音楽プレイヤーの方が値は高い)。またタブレット型端末のインターネット利用率は中学生が最大値を示しているが、その理由はといえば、高校生ではスマートフォンが先に普及しており、さらに調達することが認められない、あるいは必要性を感じないことによるものと考えられる。

ゲーム機、音楽プレイヤー、タブレット型端末のインターネット利用状況率の変化を小中高の流れで見ると、それぞれの年齢属性における趣味趣向の違いや、各端末の普及状況の事情が浮かび、大変興味深い結果と言える。例えば女子高生では携帯ゲーム機ですらインターネット接続の上で利用されているのは8.9%でしかなく、携帯音楽プレイヤーやタブレット型端末の方が上となっている。ただしそれでも精々1割。多くはスマートフォンに活躍の場を奪われていることは容易に想像できる(実際その通りで、女子高生の場合、全体の91.5%がスマートフォンでインターネットを利用している)。

携帯ゲーム機そのものも、スマートフォンやタブレット型端末に市場を侵食されているとの分析もある。今後全体比における単純利用率やインターネット利用率がどのような変化を見せていくのか、来年以降の動向に大いに注目したい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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