将棋界、囲碁界から麻雀プロがあいついで誕生――鈴木九段と小松四段
将棋や囲碁のプロ棋士は昭和のころから麻雀好きが多く、しかもかなりの強豪がいた。
筆者が将棋専門紙の記者を務めていたころ、大山康晴十五世名人(1923年~1992年)はタイトル戦で地方に行くと、前夜祭や対局後の夜に麻雀卓を用意させ、自身が打たずとも関係者の麻雀を観戦するのが恒例だった。昭和時代の一流棋士では日本将棋連盟会長も務めた丸田祐三九段は記憶力に長け、当時の竹牌の模様を暗記し、以前の訪問時に打った牌は種類を覚えているので公平に遊べるよう取り替えてもらったというエピソードが伝説になっている。
やはり元A級棋士の勝浦修九段(77)も若手のころから麻雀の名手として知られ、麻雀専門誌の誌上対局でプロを相手に互角の戦いを演じた。
大ヒット小説で映画化もされた「麻雀放浪記」を著した「雀聖」こと阿佐田哲也氏は勝浦九段の緩急自在の打ちまわしを見てプロにスカウトしたいと評したが、この時代はまだ将棋棋士と麻雀プロの兼業は考えられない世相だった。
年収数千万円の麻雀トッププロも
今年5月に鈴木大介九段(49)が日本プロ麻雀連盟所属のプロとしてデビューすることが発表された。鈴木九段は2019年にオープントーナメントのビッグタイトル「麻雀最強戦」で優勝、その後も複数の公式戦で活躍したためプロ五段の資格を認定された。
その翌月にはトッププロが多数参加する高額賞金(優勝5000万円、2位2000万)のチーム戦「Mリーグ」のドラフト1巡目で3番目に「BEAST Japanext」から指名され、デビュー早々人気プロの仲間入りを果たした。
囲碁界も負けてはいない。今年6月末に日本棋院関西総本部所属の小松大樹四段(33)が最高位戦日本プロ麻雀協会のプロテストに合格し、同協会のリーグ戦に参加することが決まった。
麻雀のプロは将棋や囲碁の棋士と違ってトップクラスの選手以外は対局料や賞金だけで生活していくことは厳しいが、鈴木九段のように「Mリーガー」になれば年俸が保証され、さらに超一流選手はメディア出演などを含め数千万円の収入(推定)があるというから夢のある世界だ。
麻雀プロとしての鈴木九段、小松四段の活躍に期待している。