茨木市・謎解きゲームみたいなアートの個展。いくつ作品を見つけられる?
茨木市市民総合センターというカタイ名称の建物。大きなセンターホールのほか、多目的ホールや会議室を備えた公共施設で「クリエイトセンター」と呼ばれ親しまれています。
このクリエイトセンターには、3年ほど前まで喫茶店がありました。2020年に閉店したその空間で「川口洋子個展 小さくて大きい 一つずつ」が開催されていると聞き、行ってきました。
行ってみてびっくり!
「謎解きゲームの会場か?」と思うほど、遊び心がいっぱいだったからです。
これはオススメ!
そもそも、今は使われていない喫茶・食堂が会場になっている、というところに興味もありました。
今はときどきコンサートやイベントが開催されている場所で、行った人からは「懐かしい」「落ち着く!」と人気がある空間なのです。
「展示会へ来たんですけど…」
入ってまず驚いたのが、ぱっと見て「なにもない…?」と思うほど、目立つものがなかったこと。
閉店して数年たっているとはいえ、そのころのテーブルやイスなどは置いたままだったのに、がらんとした会場で一気に不安に。
「あの、展示会に来たんですけど」
ちょうど会場にいた川口洋子さんと、主催している茨木市文化振興財団の方に声をかけてみました。
すると「もう始まってますよ」と笑顔の二人。
慌てて、もう一度入り口のところから入り直します。
「もう、作品を観ているんですよ」と言われ、それからはゆっくりゆっくり足を運んでいきました。
謎を解くように作品を探す個展
空間をキョロキョロしていく、個展。
とにかく、どこに作品があるのか、どれが作品なのかがよくわからなくて、おもしろい!
ぱっとみて「これは絵画だ」と、わかる作品もあります。
でも、ほとんどの作品が「喫茶・食堂」の風景に溶け込んでいるんです。なぜなら、喫茶・食堂に残されたイスやテーブルや備品も作品にしているから。
「これは、作品ですか?」と、ひとつひとつ聞きながら歩いてきました。
「これも作品ですか?」
「いえ、それは元々の壁のめくれです(笑)」のようなやりとりも。
作品の一部だろうと思って、触れることに気をつけていると「あ、それは糸くずですね」とあっさり言われたり…、おもしろいです。
ご縁のある山口県周防大島でご自身が見た風景や、京都で嵐電に乗っていたときの風景、ふだんの暮らしのなかで、川口さんがふと目にしたものの表現が、あちこちにありました。
川口さんと作品の背景を聞くと、自分のなかにある「感じたことのあるできごと」にも気付く瞬間があって、深くて温かい時間を過ごせました。
「なぜ私なのか、なぜこの場所で個展をするのか」を考えながら、作品を作ったという川口さん。
もちろんすべてではありませんが、その風景を川口さんとちょっとだけ共有できたような気もしました。
この会場に来たからこそ、感じることができてるんだなぁと、改めて気付かされた時間でした。
「いま、私がこのことを見ているってことは、見えていないものがあるってことで…」という川口さん。
ものごとへのリスペクトや謙虚さを持っていらっしゃるんだなぁと思いました。
川口さん、ステキなかたです。
会期中は、ほとんどこのレトロな空間にいらっしゃるそうなので、作品を探しながら川口さんにも声をかけてみるのをおすすめします。
普段はきっとココには入らないよね…、という場所にも「まさか!」という作品がありますよ!
私は「ヒントくださいー!」と言いながら、探しました。
ぜひ!
【川口洋子個展「小さくて大きい 一つずつ」】
什器や備品が残った空間をそのまま活用し、展示空間を含めたすべてが作品のような個展。川口洋子さんの繊細さと遊び心にあふれ、ゆったりとした時間を過ごせます。
■開催日時 3月5日(日)まで
10:30~19:00(金・土曜は20時まで)
会期中は無休
■場所 茨木市市民総合センター
クリエイトセンター(茨木市駅前四丁目6-16)
1階喫茶・食堂
【茨木市クリエイトセンター Map】
(リンク先へ移動します)
■入場無料
■サテライト会場
・ロサヴィア茨木2階 文化事業情報発信コーナー「みるば」
→クリエイトセンター(喫茶・食堂)にも展示される映像によるインスタレーション作品の一部としてモニターに映像作品を放映
・ソシオ2階 ショウウィンドウ
→クリエイトセンターの喫茶店で使用されていたイスなどを持ち出し、絵などの作品とともに展示
■茨木市文化振興財団 案内ページでもご確認ください。
【茨木市文化振興財団「川口洋子個展小さくて大きい 一つずつ」案内】
(リンク先へ移動します)
☆会期中、川口さんはほぼクリエイトセンターの会場にいらっしゃいます。
「え、こんな場所にも?」という場所にも作品があるので、声をかけてみることをおすすめします。
■主催 茨木市・茨木市文化振興財団