ゴルフ界の「歴史的なパートナーシップ」が発表された。

1月31日（米国時間）の朝、PGAツアーのジェイ・モナハン会長はテレコンファレンス（電話会議）を開き、営利法人「PGAツアー・エンタープライズ」を創設するために、フェンウエイ・スポーツ・グループが率いるコンソーシアム「SSG（ストラテジック・スポーツ・グループ）」とパートナーシップを結んだことを誇らしげに発表した。

PGAツアーはSSGから30億ドルの投資を受け、巨大な営利法人の創設に向けて動き始める。一定条件を満たしたPGAツアー選手の約200名はPGAツアー・エンタープライズの株主となり、PGAツアーからリブゴルフへ移籍した選手も今後定められる手順を踏んでPGAツアーのメンバーシップを取り戻せば、株主となることが可能になるという。

「今日は、PGAツアーと世界中のゴルフファンにとって、重要な瞬間になった」と高らかに語ったモナハン会長は、さらに、こんな言葉を続けた。

「スポーツビジネスにおいて経験豊富なSSGとのパートナーシップによって、私たちはこのスポーツをプレーヤーやトーナメント、ファンのためのものへと発展させることができる」

SSGを統括するマネージャー、ジョン・ヘンリー氏も「この歴史的なパートナーシップによって、PGAツアーとともにゴルフをグローバルに強化していけることを、私たちは誇りに思う」とする声明を出した。

PGAツアーのモナハン会長は昨年6月6日に、リブゴルフを支援するサウジアラビアの政府系ファンド「PIF（パブリック・インベストメント・ファンド）」との統合合意を電撃的に発表。その際、ツアー競技を運営している現在のPGAツアーは現状通りの非営利法人として維持する上で、新たに営利法人のPGAツアー・エンタープライズを創設するプランを明かした。

その後、PGAツアーの理事会が主体となって、PIFとの討議や交渉を重ね、当初は昨年12月31日に設定されていた正式発表のデッドラインは延期されて、交渉が続けられていた。

それから1か月後の1月31日に、ついに発表された「歴史的パートナーシップ」の相手は、PIFではなくSSGだったが、これはPIFが除外されたことを意味しているわけではなく、今後もPGAツアーとPIFとの交渉は継続された上で、PIFからの追加投資が行なわれると米メディアは見ている。

また米ゴルフウィーク誌は、PGAツアーがSSGとのパートナーシップを先行して発表した理由は、そのほうが米国の政府や議会からの理解が得やすいからではないかと報じている。

テレコンファレンスには、PGAツアーのみならず、下部ツアーのコーンフェリーツアーやシニアのチャンピオンズツアーの選手たちも参加したが、関係者によると、「選手たちからの質問はさほどなく、発表された内容をそのまま受け入れている様子だった」「混乱はなかった」そうである。

「歴史的パートナーシップ」がゴルフ界の歴史を良き方向に導いてくれることを祈りたい。