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若者と高齢層で「老後の生活資金源」構想は大きく異なる(2021年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 老後の生活を支えるもの。まずは何よりもお金。(写真:アフロ)

「老後の生活資金源」構想、二人以上世帯の場合

公的年金、就業収入、子供などからの援助…老後の生活資金源に関する考え方は人それぞれ。その実情を金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。

まずは二人以上世帯における世帯主の年齢階層別・老後における生活資金源(の思惑)。場合によってはすでに老後に突入している人もいるため、「老後の想定」以外に「すでにその資金源で生活している」人も含まれる。特に高齢層は、現状を示している場合が多いと見てよい。なおグラフ上の項目の並びは公開値のままとしている。

↑ 老後における生活資金源(二人以上世帯、3つまでの複数回答、世帯主年齢階層別)(2020年)
↑ 老後における生活資金源(二人以上世帯、3つまでの複数回答、世帯主年齢階層別)(2020年)

公的年金を頼る人がもっとも多いのは明らかだが、おおよそ高齢者ほどその値が高い。見方を変えると若年層ほど、公的年金への期待ができないとの意識を持っていることになる(70歳以上の場合は身体の衰えから就業収入を望めない場合もあるだろう)。一方、大体若年層ほど就業収入や企業・個人年金・保険金の値が高く、公的年金以外の手立てで老後を支えていくとの意思が見えてくる。

金融資産の取り崩しは20代を除けば年齢を問わず、ほぼ一定の値を維持している。20代で低めの値が出ているのは、まだ(ほとんど)具体的な蓄財をしていないからだろう。

気になるのは絶対値としては少数だが、公的援助、具体的には生活保護などと回答する事例が一定率で確認できること。今件は「主な生活資金源」として3つまでを挙げてもらった結果であることから、例えば「二人以上世帯の30代の7.3%は、自分の老後において生活保護などを受けることを前提として考えている」ことになる。

調査結果の公開値には多様な属性の回答値が収録されているが、そのうち高齢年金生活者に近い属性、具体的には「世帯主の就業先産業別」で無回答、「(世帯の)就業者数別」で就業者無しの世帯における動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 老後における生活資金源(二人以上世帯、3つまでの複数回答、高齢年金生活者世帯と思われる属性)(2020年)
↑ 老後における生活資金源(二人以上世帯、3つまでの複数回答、高齢年金生活者世帯と思われる属性)(2020年)

おおよそ年金生活による夫婦世帯の生活資金源の内情を推し量れるが、公的年金がもっとも多く、次いで企業・個人年金・保険金、金融資産の取り崩しが続く。利子配当や不動産収入、子供などからの援助は、少なくとも主要な3資金源として挙げる人は少数。公的援助は5~6%台となっている。

単身世帯の場合

単身世帯の動向は次の通り。年齢階層別の区分が60代までで、ほぼ年金生活者で占められる70歳以上の階層区分が無いのが残念だが、おおよそ60代が類似動向のものとして判断できる。

↑ 老後における生活資金源(単身世帯、3つまでの複数回答、世帯主年齢階層別)(2020年)
↑ 老後における生活資金源(単身世帯、3つまでの複数回答、世帯主年齢階層別)(2020年)

大勢は二人以上世帯と変わらないものの、公的年金への信頼感はより低く、40代までは5割前後でしかなく、就業収入の値の方が上となっている。さらに企業・個人年金・保険金への期待度も二人以上世帯と比べると低め。金融資産の取り崩しはあまり変わらず、代わりに利子配当への期待がいくぶん高くなっている。

気になるのは公的援助の回答値の高さ。単身世帯では30~50代で1割超えの値を示している。老後の生活資金源に係わる将来設計で、すでに生活保護を念頭にしている人が多くの世代にわたって存在している状況は、憂慮すべき話に違いない。

■関連記事:

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【年金生活をしているお年寄り世帯のお財布事情をさぐる(2020年公開版)】

※家計の金融行動に関する世論調査

直近分となる2020年分は二人以上世帯においては、層化二段無作為抽出法で選ばれた、世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯に対し郵送式で、2020年8月7日から9月15日にかけて行われたもので、対象世帯数は8000世帯、有効回答率は25.7%。単身世帯においてはインターネットモニター調査で、世帯主が20歳以上70歳未満・単身で世帯を構成する人に対し、2020年8月21日から9月2日にかけて行われたもので、対象世帯数は2500世帯。過去の調査も同様の方式で行われているが、二人以上世帯では2019年分以前の調査は訪問と郵送の複合・選択式だった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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