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スピアーズ新アシスタントコーチ、日本代表入閣の可能性あった。本人認める。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
「ストーミー」ことマクラウド新アシスタントコーチ(筆者撮影)

 ニュージーランド代表の参謀役として2度のワールドカップに参加したスコッド・マクラウド氏が、今季から日本のリーグワン1部に加盟するクボタスピアーズ船橋・東京ベイのアシスタントコーチに就任。10月5日に都内で会見し、昨年までは日本代表のコーチになる可能性もあったことを認めた。

 オーストラリア出身のマクラウドは現役時代、センターとしてニュージーランド代表10キャップ(代表戦出場数)を獲得。2002年からの6シーズンは日本の東芝(現東芝ブレイブルーパス東京)でプレーし、当時のトップリーグで2度のベストフィフティーン受賞、1度のプレーオフMVPを受賞していた。

 引退後はコーチとしてスーパーラグビーなどで実績を積み、2017年からはニュージーランド代表を指導。昨年は日本代表の新ヘッドコーチの選考へ立候補したフラン・ルディケが、自身が就任した場合のアシスタントコーチにマクラウドを推薦したと伝えられていた。

 会見では、その真相について本人が語った。

 以下、共同会見時の一問一答の一部。

——外から見ていたスピアーズの印象は。

「現役時代から精神的にタフな対戦相手だと感じていました。ここ数年ニュージーランドから見ていたり、実際にマネジメントサイドとも話すと、成長意欲があるように感じました。またどの年代のOBや関係者も、口を揃えて『スピアーズはファミリー』と。実際、選手もコーチも対等で仲がいい。お互いが近い距離で仕事をしています」

——マクラウドさんの古巣であるブレイブルーパスは、昨季、リーグワンを制しています。

「ブレイブルーパス時代に知り合った関係者からも(今回の来日へ)メッセージをもらっている。それは嬉しいことです。彼らは新しいニュースタンダードのもと優勝し、その次の年を迎えています。防衛へプレッシャーがかかっているかもしれません。そんななか、私はスピアーズを助けたい」

——ルディケさんが日本代表のヘッドコーチになった場合、マクラウドさんも入閣していたと言われています。

「フランがもし日本代表のヘッドコーチになっていたら、ディフェンスコーチとして召集される予定でした」

——結局、エディー・ジョーンズヘッドコーチが日本代表を率いることとなりました。一方、マクラウドさんはルディケさんが残留したスピアーズの一員となりました。

「ずっと日本でコーチングをしたいと思っていた。そんな時、フランから彼の達成したい話を様々に聞いた。そこから先は、イージーな選択でした」

 2016年からスピアーズを率いるルディケは、マクラウド招へいについてこう話す。

「日本代表のヘッドコーチ選考に申し込む動きのなかで履歴書を受け取り、知り合いました。日本、ニュージーランドでの経験が豊富で、ワールドカップにも参加している。すでにチームで教えていますが、その知識で刺激を与えてくれています」

 一昨季クラブ史上初の優勝を果たすも、昨季は12チーム中6位。今季就任の前川泰慶ゼネラルマネージャー(GM)は「黄金時代を作りたい」と話し、首脳陣の再構築と端的な戦力補強でバックアップする。

 その流れで入閣のマクラウドは、すでにスピアーズに合流。日本代表で任されそうだった防御を担当する。その様子を見て、前川GMは期待する。

「選手へのアプローチ、プレゼンの仕方がうまい」

 ちなみにマクラウドにとって浅からぬ縁がある日本代表とニュージーランド代表は、10月26日に神奈川・日産スタジアムで対戦予定。会見ではそのカードについても質問が飛び、マクラウドがこのように応じた。

「その時期、オールブラックスはしばらく試合から離れている状態です。マインド的にも、身体もスロー。そこへ日本代表がスピードを活かしてスペースにボールを運ぶことができたら、勝機を見出せるかもしれません」

 ニュージーランド代表はマクラウドが教えていた2022年にも来日。日本代表に38―31と辛勝していた。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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