今週末、どこ行く? ≪絶対失敗しない宿選び≫ 女性が【ひとり温泉】をするなら、この温泉地とこの宿!
*ひとり温泉街をそぞろ歩く 石川県 山中温泉「吉祥やまなか」
深く刻まれた渓谷に架かる「こおろぎ橋」など数々の橋自体が立派な景勝地。
あの松尾芭蕉も愛した温泉地として知られる、北陸3大名湯のひとつが山名温泉だ。
温泉街は浴衣を着て、カラリコロリと下駄を鳴らして歩くには、ちょうどいい規模である。
伝統的な湯小屋形式の共同浴場「総湯」へ行けば、地元のおじちゃん、おばちゃんたちが入浴している。
街中にはおしゃれな九谷焼が並び、店先にはとりわけ高額な九谷焼きが展示されているが、箸置きやストラップなどの安価な日常品も並び、手にしやすい。
そんな温泉街のはずれに、「吉祥やまなか」がある。
「つるや吉祥亭」と同系列で、やはりサービスが盛りだくさん、あれこれ選べるシステムは同じだ。ロビーではコーヒーやケーキやデザート、ビールはフリー。季節によっては、毎晩玄関奥のフロントでお茶屋遊びが行われる。まずは伝統の山中節の三味線の音色に合わせて踊りを披露してくれる。続いて芸妓さんがお座敷じゃんけんを体験させてくれる。じゃんけん体験のあとは、みなで踊る。芸妓さんを目の前で見た興奮と、一緒に写真を撮ることもできるので、温泉地の夜が彩り、盛り上がる。ふんわりとした甘いおしろいの匂いも忘れられない。
その時の気分で参加できるというのが、実に気楽だ。
*お祝いの宿
「つるや吉祥亭」と「吉祥やまなか」は、「お祝いの宿」系列として、北川温泉、山中温泉だけでなく、徳島県の鳴門温泉、沖縄県の山田温泉などにも温泉宿を持つ。
誕生日、還暦記念日、母と娘の記念旅行、記念日ならなんでもいい。「お祝いをします!」がコンセプトだから、趣旨を伝えればサプライズパーティーもしてくれる。ひとりで過ごす誕生日に、いいではないか。
これらの宿を運営している「HPDコーポレーション」のみなさんは面白いことが大好き。どうしたら働く自分たちも楽しいかを話され、それで私まで楽しい気分になってしまうのだから、宿は働く人次第でどんどん変わっていくのだと思う。
ひとり温泉だけでは、やや寂しいかもという人には、優しいもてなしに感じ入るだろう。
※この記事は2024年9月6日に発売された自著『ひとり温泉 おいしいごはん』(河出文庫)から抜粋し転載しています。