新型コロナ 無症候性感染者の特徴は?占める割合や周囲への広げやすさについて
新型コロナウイルスに感染しても全く症状が出ない人(無症候性感染者)が一定の割合でいらっしゃいます。
新型コロナの感染者のうち、無症候性感染者の占める割合や、無症候性感染者から感染しやすいのか、などについてまとめました。
無症候性感染者とは?
無症候性感染者とは、感染をしても症状が出ない人を指します。
新型コロナでは、重症化して人工呼吸器などを使用するような患者さんもいる一方で、感染をしても全く症状が出ない人が一定の割合でいることが分かっています。
なお、全く症状がない人の中には「症状はないけど、レントゲンやCTを撮影すると肺炎の所見がある」という人も含まれており、無症候性感染者にCTを撮ると半分の人に肺炎像があったという報告もあります。
無症候性感染者が占める割合は?
新型コロナ感染者の中で、無症候性感染者が占める割合についてはまだ定まった見解はありませんが、メタ解析という多数の報告をまとめた解析法による無症候性感染者の割合についての検討では、33%の人が無症候性感染者ではないかとされています。
しかし、感染した場合に無症候性感染者へのなりやすさは年齢によって異なると考えられています。
例えばアメリカの原子力空母セオドア・ルーズベルトで起こったクラスターでは、乗組員4,779人のうち、1271人(平均年齢27歳)が新型コロナに感染しました。
この1271人のPCR検査陽性者のうち、45%は無症状、32%が検査時には無症状でのちに症状を発症、そして23%が検査時に症状がありました。
このように、おそらく年齢が若い人ほど無症候性感染者になりやすいのではないかと考えられます。
無症候性感染者からも感染する?
ヒューストンでの第1波と第2波におけるスーパースプレッダー(周囲に感染を広げやすい人)の特徴を解析した研究では、
・女性
・外来患者(入院するほどではない軽症)
・症状のある人
・新型コロナウイルスの量が多い人
が周囲に広げやすいという特徴があったということです。
基本的には症状がある人の方が、無症候性感染者よりも感染を広げやすいと言えます。
では症状のない無症候性感染者から新型コロナは広がることはあるのでしょうか。
結論から言うと、あります。
飛沫を介して人から人に感染するパターンとしては3通りあります。
①無症候性感染者(一貫して症状がない人)からの感染
②発症する前の感染者からの感染
③発症した後の感染者からの感染
このうち、①と②は症状がない状態での伝播ですが、咳などの症状がなくても歌ったり大声を出すと飛沫が周囲に飛び、感染が広がることがあります。
感染者のうち無症候性感染者が占める割合を3割と仮定した場合、新型コロナ感染者のうち、
①無症候性感染者(一貫して症状がない人)からの感染:24%
②発症する前の感染者からの感染:35%
③発症した後の感染者からの感染:41%
と試算されています。
症状がない人からの感染、という意味では①と②を合わせると59%を占めています。
無症候性感染者や発症前の感染者からの感染を広げないためには?
図は「激しく歌う」「普通に歌う」「大声で話す」「マスクを着けて大声で歌う」「普通に話す」「呼吸する」など様々な状況で発生する飛沫の量と粒子径の違いをみたものです。
この図からも分かるように、咳やくしゃみをしなくても歌ったり喋るだけで飛沫が飛んでいることが分かります。
実際に、これまでにクラスターが発生している場所の特徴として、ライブハウス、カラオケや合唱団などのように、大声を出す、歌うなどの場所に多いこともこの証左と言えるでしょう。
そして図の「黄色の○」を見ていただくとお分かりの通り、マスクを着けることで、大声で歌った場合も飛沫の量が大きく減っています。
新型コロナの感染対策では、症状がある人だけでなく、症状がない人も含めて、換気が不十分となりやすい屋内や混雑した交通機関内ではマスクを着用することが重要です。
また、ご自身の感染予防のためにはマスク着用だけでなく、手洗いをこまめに行うことが重要です。