スマホの料金:ドコモの新料金プラン、米国でさらに攻めるT-Mobile
米国では、通話料とText(SMS)料金を無料にし、データ通信料を個人や家族の複数端末で分け合えるシェアプランの導入が、「通話やTextからデータ主体のモバイル通信へ」という時代の流れの象徴的な存在でした。
日本ではどこが最初に導入するのかと見ていましたが、ドコモがこうしたデータを分け合える料金プランを導入する予定と報道されました。
日本経済新聞:ドコモ、データ通信に家族割 スマホ新料金プラン
これについて、ドコモは、プレスリリースで同社の発表ではないと否定しています。
いままで、通信料金の価格はソフトバンクが下げてきた歴史がありました。しかしここに来て、ドコモが家族の利用料金を半額にするなどして囲い込みを強化し、キャリアの乗り換えを防ぎやすくする施策を採ってきた点は、(もし記事通りに導入されるのであれば)順当な戦略になると思います。
【追記】
その後、ドコモは4月10日に、音声通話定額の「カケホーダイ」と、家族でパケットを共有する「パケあえる」を発表しました。詳細はドコモのウェブサイトに掲載されています。固定電話、他社ケータイを含めた2700円の音声定額。これに、1人の場合は2GB 3500円もしくは、5GB 5000円から、家族でシェアする場合は10GB 9500円、15GB 12500円、20GB 16000円、30GB 22500円のデータプランを組み合わせる仕組みです。
この料金プランを見ると、家族で共有する場合の最低データ量が10GB、9500円と高いものしか用意されていません。家族3人以上で使い始めなければ、音声と合わせて基本料金が現在よりも割高になってしまうのではないでしょうか。ということで、我が家のドコモ回線は、これまでのXi契約のままにしておいた方が良い、ということになりました。
我が家に限らず、例えば、iPhoneを初めて使い始めたい60代の夫婦の場合、月間5GBもデータを使うわけではないため、10GBのデータパックは必要ないでしょう。1人で契約するユーザー向けと同じ3GB 3500円、5GB 5000円のプランを、家族でも選べるようにしてはどうでしょうか。その代わり、共有する台数は2台までに絞るといった制約を付けても良いでしょう。
このあたりも、他社の動向を見ながらカードを切る、ということなのかもしれません。しかしせっかく日本初のプランを導入するのだから、あらかじめ全ての人に使いやすいよう、イニシアティブをとってもらいたいものです。あと、個人的にこのサービスに不満な点としては、サービス名称。そろそろダジャレ脱却を望みます。
シェアプランの微調整にも積極的なVerizon
こうしたシェアプランを導入したVerizonは、当初「Share Everything」という名称で展開してきました。記事あるドコモの方式と同じで、データ通信の容量を選び、そこに個人もしくは家族の端末を「参加」させる仕組み。Verizonの場合、スマートフォンを参加させるには1台45ドルで通話・Text定額、タブレットなら10ドルです。
米国ではもともと、データは定額制ではなく、容量に合わせて月額料金を支払う方式でしたが、家族でiPhoneを2台使う前提で行くと、個別に契約していた際と同じ条件にするとShare Everythingのほうが割高になってしまっていました。
そんなVerizonは、現在、「More Everything」という名称に変更し、当初の共有プランを強化しています。具体的には、500MB、1GBというより小さな容量を選ぶことができるようにし、個人が利用する際の最低料金を切り下げた形になります。また10ドル刻みでデータ量を調節できる点も、プランを細かく見直しながら利用できる点で、ユーザーにとってはありがたい対応と言えるでしょう。
共有プランに一本化することで、料金プランそのものをシンプルにすることができ、また携帯電話会社にとってもユーザーにとっても、プラン構成を微調整しやすくなる、というメリットがありそうです。
またも最低料金切り下げ、攻めるT-Mobile
ここ最近、VerizonからT-Mobileへの乗換を検討している我が家。現在2台のiPhoneで月額140ドル、それぞれ2GBずつのデータプランという構成ですが、T-Mobileに乗り換えるとそれぞれ1GBで80ドル、3GBずつに増やしても100ドルという価格は魅力です。周りのT-Mobileユーザーも、データ、通話ともに特に心配なさそうな様子。
ちなみに1GBのデータが少ないじゃないか、と言われるのですが、最近は自宅〜仕事場〜街中含めてWi-Fiが多く、ちょっと気をつければ1GBに収めることができる生活は可能になってきています。そのため、2人で1GBずつ、80ドルという選択は意外と現実的だという判断もあります。まあ、3GBずつで100ドルも、今より条件が良いのですが。
そんなT-Mobileが、4月12日から導入するプランは、通話・Text無制限、500MBのデータ通信がついて月額40ドルという価格を出してきました。もしデータ通信の枠を超えて使っても、4G LTEの高速通信ができなくなるだけで超過料金なし。これは非常に魅力的です。
ちなみに、T-Mobileは家族で利用するにも非常に良いキャリア。前述の通話・Text無制限で1GBのデータ枠が付いたプラン、1人目は50ドルですが、2人目は30ドル。3人目以降は10ドルで追加できるのです。
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T-Mobileが欲しい孫さんの気持ちがわかる状況
最後に、Sprintを買収したソフトバンクの孫正義氏が3月に、ワシントンでスピーチをしたり、テレビ番組への出演をしました。このメイントピックは、直接的には言いませんでしたが、SprintによるT-Mobile統合と、米国の携帯電話市場の再編成でした。
T-Mobileはスマートフォン化の波に最も遅く乗った口ですが、昨年はVerizonに並ぶほど好調に新規ユーザーを獲得してきました。この記事でも、VerizonとT-Mobileしか登場させなかったのですが、その他のキャリアは「その他」として放置しておいても良いほど、存在感がない状態。
孫さんのSprintも、新たに選ぶキャリアや、乗換の対象としてはまず上がらないというのが、こちらに住んでいる感覚からすると、実際のところです。価格も決して安くないし、ネットワークも良くはない。だったら、ネットワークが盤石なVerizonか、ネットワークがそこそこ良くて圧倒的に安いT-Mobileか、という選択になりますよね。
しかも昨今のブランド戦略もあり、T-Mobileはかなりイケてるキャリアというイメージになってきた感覚もあります。もちろん業界再編で3位と4位を統合して上位と対峙するという構図を作ることは重要ですが、イケてるT-Mobileが欲しいと思う気持ちもとても理解できます。