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ア・リーグ優勝をかけて対戦するのは「ボスが買おうとしたチーム」と「ボスが買ったチーム」

宇根夏樹ベースボール・ライター
レジー・ジャクソン(手前)とジョージ・スタインブレナー April 1,2009(写真:ロイター/アフロ)

 ア・リーグのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、10月14日(日本時間15日)に始まる。ニューヨーク・ヤンキースとクリーブランド・ガーディアンズのうち、4勝を挙げたほうが、リーグ・チャンピオンとしてワールドシリーズへ進む。

 第1戦と第2戦に、もしあれば、第6戦と第7戦が行われるヤンキー・スタジアムは、「ジョージが建てた家」とも呼ばれる。最近はあまり聞かなくなった気がするが、2009年にオープンした当初はよく耳にした。

 その前のヤンキー・スタジアムは、「ルースが建てた家」と称されていた。こちらは、1923年から2008年まで、ヤンキースのホームだった。このフレーズは、1919年のオフにボストン・レッドソックスから移籍したベーブ・ルースが、ヤンキースに勝利と人気、そして、富をもたらし、それによって球場ができた、という意味だろう。

 一方、ジョージ・スタインブレナーは、ヤンキースでプレーはしていない。1973年に、テレビ局のCBSからヤンキースを買収した。「ザ・ボス」として、ヤンキースを所有した。現在のオーナーは、息子のハル・スタインブレナーだ。

 ジョージの出身地、オハイオ州ロッキー・リバーは、クリーブランドのすぐ隣に位置する。

 ジョージが最初に手に入れたのは、クリーブランド・パイパーズというバスケット・ボールの球団だ。その後、クリーブランド・インディアンズ(現ガーディアンズ)を買収しようと動いたが、うまくいかなかった。インディアンズを買うことができていれば、ヤンキースのオーナーにはなっていなかった、ということになる。

 インディアンズ/ガーディアンズが最後にワールドシリーズで優勝したのは、1948年だ。ジョージが買収後、ヤンキースは7度、ワールドシリーズ優勝を飾った。ただ、ジョージがいなくなってからは、ワールドシリーズ進出すらない。直近の優勝は2009年、ジョージが亡くなったのは翌年の夏だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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