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マリナーズは最高のローテーションの一角を崩しても、トレードで打者を獲得するのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・カスティーヨ(シアトル・マリナーズ)Aug 28, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2024年のシアトル・マリナーズは、先発投手を7人しか起用しなかった。

 そのうちの4人は、規定投球回に到達した。ローガン・ギルバートが33登板の208.2イニングで防御率3.23、ジョージ・カービーが33登板の191.0イニングで防御率3.53、ブライス・ミラーが31登板の180.1イニングで防御率2.94、ルイス・カスティーヨは30登板の175.1イニングで防御率3.64を記録した。

 あとの3人は、ブライアン・ウーが22登板の121.1イニングで防御率2.89、エマーソン・ハンコックが12登板の60.2イニングで防御率4.75、ジョナサン・ディアズは1登板の5.1イニングで防御率5.06(自責点3)だ。ディアズは、リリーフとしても4試合に登板した。

 彼らが投げた計942.2イニングは、30チームのなかで最も多く、防御率3.38は最も低かった。ちなみに、マリナーズに次ぐのは、911.0イニングと防御率3.55のカンザスシティ・ロイヤルズだ。また、これまでにマリナーズの先発投手陣が記録したシーズン防御率は、2014年の3.48がベストだった。

 このままいくと、来シーズンの開幕ローテーションには、順序はさておき、ギルバート、カービー、カスティーヨ、ミラー、ウーが並ぶ。2024年に、20登板以上、120イニング以上、防御率3.65未満の5人だ。

 ただ、5人中1人は、他のチームで開幕を迎えるかもしれない。

 ここ2シーズンとも、マリナーズは、あと一歩のところでポストシーズン進出を逃している。2023年の88勝と2024年の85勝は、どちらも、ワイルドカードの3番手より1勝少なかった。

 ブルペンも含めたチーム防御率は、2シーズン続けてア・リーグ1位だ。一方、得点は7位と10位。打点の順位も変わらない。

 シアトル・タイムズのアダム・ジュードとライアン・ディビッシュらによると、マリナーズは、ボストン・レッドソックスから、一塁手のトリスタン・カーサスと交換にミラーかウーを欲しいと言われ――1対1なのかどうかはわからないが――それを断ったという。けれども、トレードの話は潰えておらず、カーサスとカスティーヨの交換なら、あり得るかもしれないという。ちなみに、カスティーヨの契約には、全球団に対するトレード拒否権がついている。

 カスティーヨは、今月12日に32歳の誕生日を迎えた。来シーズンは、5年1億800万ドル(2023~27年)の契約3年目となる。他の先発投手は、4人とも20代だ。いずれも、複数年の契約は交わしておらず、ミラーとウーは年俸調停の申請権も得ていない。

 カーサスは、メジャーリーグ2年目の2023年に、132試合で打率.263と出塁率.367、24本塁打、OPS.856とブレイクした。2024年は長期離脱に見舞われたものの、63試合で打率.241と出塁率.337、13本塁打、OPS.800を記録している。

 レッドソックスの他にも、先発投手を欲している球団は少なくない。

 なお、カスティーヨが移籍した場合、ローテーション入りの可能性もあるハンコックは、まだブレイクしていないものの、2020年のドラフト全体6位だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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