フェイスブックのターゲティング広告は区別ではなく差別なのか?
KNNポール神田です。
Facebookの個人のデータ収集に関して、指摘される機会が多かったが、ついに、提訴という判断を米住宅都市開発省(HUD)がとった。
Facebookのビジネスモデルはすべて広告である。ユーザーの登録しているプロファイルや、いいね!をしている行動、関心のある領域などを、細かな属性として広告を出稿することができる。
今回の「米国外で出生した」「キリスト教徒ではない」「アクセシビリティの問題」「ラテン文化に関心がある」を広告主が除外するということは、広告ターゲットとして、外国人でキリスト教徒でなく、身体に障害があり、ラテン系の人には、広告を見せないということである。
本来の『ターゲティング広告』の考え方は、ターゲットを『区別』し、『絞る』ことがメインであるが、それを『除外する』ということによって結果として『差別』という広告が打ててしまう。
それだけではなく、騙されやすい『カモ』を集めるために、広告を打つこともできる。反ワクチン情報を調べた人に対して、怪しげな健康食品の広告を見せるなども可能だからだ。
もちろん、今回の提訴は、『公正住宅法』という法律で守られている分野だから提訴できたのだが、ターゲティング広告での『区別』と『差別』は、非常にわかりにくい。
それと同時に、個人の行動ターゲティングは、自分には見えている、人には見えない…または、自分には見えない、人には見えるという状況もあるので、誰がどんな広告を見させられているか…などの実態は非常にわかりにくい。違法な広告が発覚するのは、通報によるものだ。『この広告を報告』で通報できるが、自分に表示されなくなる効果でしかない。もちろん、自分が『差別』されている広告を見ることはできないのだ。
Facebookの広告の特徴は、住んでいる地域や性別、年齢などだけではなく、facebook上での興味やアクションなどの行動に対して、広告を打てるところが最大の特徴である。Facebook傘下の、Instagramの広告も同様だ。Instagramの場合はさらに #ハッシュタグ による
一方、Googleは、ブラウザの『検索ワード(検索クエリ)』によって、広告を表示するビジネスモデルだが、スマートフォンなどでは、ブラウザではなく『SNSアプリ』だけで完結するシーンが増えてきた。
Appleは、広告モデルではないので、基本的にユーザーの情報を保持しない。
Facebookの広告ポリシー に反していなくても、ターゲット設定で『区別=差別』が、できてしまうのがターゲティング広告なのだ。
https://www.facebook.com/policies/ads/
ターゲティング広告で『差別』されていることを知ることが一番むずかしい。