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台風24号の列島縦断で内定学生は内定式をどうしよう

石渡嶺司大学ジャーナリスト
強風にあおられる通行人。内定式は台風の中、出るべき?(写真:ロイター/アフロ)

台風24号が日本列島を直撃

 10月1日と言えば内定式です。台風24号の日本列島縦断によって延期・中止の企業が相次いでいます。一方で、実施する企業も少なくありません。

 当然ながら、内定学生からすれば「行った方がいいのか」「休んだ方がいい」「いや、行かないとあとで人事考課に差が出そう」など迷ってしまいます。

 まず、台風24号については気象解説者・気象予報士(ウェザーマップ所属)の杉江勇次さんの記事「台風24号、首都圏でも経験したことのないような暴風に厳重警戒を」をどうぞ。

注目したい記述は

「今後もこの猛烈な風を伴いながら西日本から北日本を駆け抜ける見込みで、広い範囲で記録的な暴風が心配されます」

という点。

この台風の影響で関西空港は閉鎖。新幹線や在来線も運休が続々と決まっています。

関空の滑走路計画閉鎖「不要不急の来港控えて」(読売新聞9月30日9時44分配信)

内定式を延期・中止する企業も

この台風24号の影響で、10月1日の内定式を延期・中止する企業が相次いでいます。

台風24号接近 内定式の延期や中止決める企業相次ぐ(NHK9月28日22時54分配信)

大手電機メーカーでは、東芝が来月1日に大阪で、2日に横浜市で、それぞれ予定していた内定式の中止を決めました。

パナソニックは1日に大阪で予定していた分の内定式を延期し、シャープも内定式の延期を決めました。

 今後も、延期・中止を決める企業は相次ぐもの、と見られます。

内定式実施の場合、内定学生はどうする?

延期した企業の内定学生は一安心、というわけにはいきません。

何しろ、台風24号のあとに台風25号が発生しています。

週末から来週前半に日本列島を縦断する可能性もあります。つまり、延期してもまた台風の影響を受ける可能性があるのです。

さて、明日の内定式を実施、あるいは延期した後に台風の影響を受けそうな場合、内定学生はどう対応すればいいでしょうか。

一番重要なのは、学生自身の安全です。そして、我が身は結局のところ、自分で守るしかありません。

そのため、もしも、台風の影響を受けそうな場合は、欠席する旨、連絡したうえで欠席することを強くお勧めします。

内定式の延期・中止を決めるのは気象の素人

 そもそも、内定式の延期・中止を決めるのは誰か、ご存知でしょうか。その企業の幹部、それから人事・総務部門の関係者などが協議のうえで決めていきます。

 では、企業の幹部、あるいは人事・総務部門の社員に気象の専門家がいるでしょうか。よほど大きい企業なら、中には気象マニアもいるでしょう。

 が、大半の企業では大手企業も含めて、気象には素人です。つまり、この記事を書いている私や内定学生と同じく、ニュース・天気予報で気象情報を知る程度です。

 ここで過去の経験則から、内定式の延期・中止を決める企業もあります。こちらは大手・中小などは特に関係なく、過去に気象関連のトラブルやノウハウなどを持っているかどうか、という点で変わってきます。

 とは言え、こうしたノウハウは人事異動などで胡散霧消してしまう企業が大手でもそれなりにあります。そのため、内定式実施や延期時期についても、気象に関連したトラブルへの対処方法を知らないまま、決めてしまう、ということがあり得ます。

 もちろん、大事な内定式の実施を気象の素人が決めていいのか、という問題はあります。が、そこを気にしても内定式実施を決めた企業はあるわけで。そうなると、内定学生からすれば、どう対処するか、そちらの方が重要なはず。

内定式に出なくても、人事考課に影響はない

 まず、前提条件としてお伝えしておくと、内定式に出席しなくても、人事考課に影響はありません。

 平日開催という時点で大学の講義・ゼミにも影響するので、出席しない学生はどの企業でも必ずいます。

 まして、今回は台風直撃による交通機関の運休・遅延が予想されます。であれば、出席できないのも無理ありません。

 10月1日の内定式開催でその年度の採用が一段落する、というのも、過去の話になりつつあります。2013年ごろから続く売り手市場の影響は内定式にも出ているからです。

 内定式を10月2日、あるいは、11月以降に実施する企業は台風とは無関係にそもそも増えています。

 あるいは、9月30日以前に、内定式とほぼ同じ内容の内定者懇親会を実施する企業も増えていますし、経団連の取り決め(内定式は10月1日以降)を無視して9月30日以前に内定式を実施する企業もあります。

 学生も学生で、例年、10月1日の内定式を迎えると「内定式のはしごで疲れた」などの記述がTwitter等SNSでにぎわうのが風物詩となりつつあります。

 内定式のあとでも内定辞退があり得るのは企業側も織り込み済み。こうした事情もあるので、内定式に出席しなくても人事考課で影響はありません。

同期と話す機会を失うのがデメリット

 あえて内定式を欠席するデメリットを探すと、同期となる内定学生と話す機会を失う点でしょう。

 ただ、内定式に欠席しても、内定者懇親会や入社式、新入社員研修などで話す機会はいくらでもあります。内定式に欠席したのであれば、機会を失った分、他の機会で同期と親睦を深めればいいだけです。

内定式の出席・欠席の分かれ目は

 では、内定学生が内定式を出席するかどうか、どこで判断すればいいでしょうか。

 まず、台風の進路と内定式のスケジュール(もちろん、前日移動や実施後の移動も含みます)が重なりそうなら、欠席することをお勧めします。

 台風が過ぎ去っても、ある程度は交通機関にも影響が出ることもお忘れなく。

 なお、台風の進路と重なり、交通機関が休止・遅延する場合、車での移動はやめましょう。今年9月の台風21号は交通機関だけでなく道路でも通行止めが相次ぎました。台風の通過中に車で無理に移動するのは危険です。内定式はそこまでして出る価値のあるものではありません。

 それと、内定式に向かう最中で交通機関が休止・遅延など乱れることもあります。その状況において一番安全な選択は何か、それを考えるようにしてください。

 なお、内定式への欠席ないし遅刻の連絡は、電話が基本です。面倒でも直接話すようにしてください。

 こうした状況判断は内定式だけのものではありません。社会人になってからも結構な頻度で遭遇します。内定式の出欠は、その練習と思えばいいのではないでしょうか。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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