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【草津市】お寺にストリートピアノが3台もある理由

abehiro地域情報ライター(草津市・栗東市)

草津市青地町に西方寺という浄土宗のお寺がある。

西暦912年の建立というから今年で創建1110年になる由緒あるお寺だ。

その西方寺の本堂前になんともカラフルに装飾されたピアノが設置されている。

誰でも自由に弾くことのできるストリートピアノだ。雨の日でも弾けるように屋根も設置されている。

カラフルに描かれているのはお地蔵さんの顔。
カラフルに描かれているのはお地蔵さんの顔。

「ピアノのおかげで、若い方や、子供を連れてお寺に来てくれる方が増えました。」

そう話すのは、副住職の牧哲玄さんだ。

近年、お墓参りや法事に子どもを連れて来ないケースも増え、お寺に親しむ機会が減っている。何とかできないかと考えていたところ、話題性もあり、牧副住職もよく演奏するストリートピアノにたどり着いた。

3台目はグランドピアノを

西方寺には3台のストリートピアノがある。1台目は、本堂の中に設置されている。自由に弾けるよう解放したが、本堂内に入って弾くのは少し敷居が高かった。2台目は本堂前にあるこのカラフルなアップライトピアノ。2年ほど前に、もっと多くの人に音楽に触れてもらおうと屋外に設置した。無料で寄贈された年代ものなので、あえて調律も少し甘くしている。牧副住職は言う。「海外のストリートピアノのように、その味わいも楽しんでもらえたらいいですね。」

3台目は本堂の裏手の墓地を抜けたところにある。

大きな屋根は南草津のラーメン店(麦笑 草津店)からの寄贈
大きな屋根は南草津のラーメン店(麦笑 草津店)からの寄贈

駐車スペースだったところに、テラスを建て、ピンク色にラッピングされたグランドピアノを設置した。テラスの前にはテーブルや自動販売機もあり、ちょっとしたコミュニティスペースとなっている。お墓参りの後、ピアノの音色を聴きながら休憩していく人も増えた。

グランドピアノは、滋賀大学教育学部の学生さんがデザインしてくれた。こちらは調律もバッチリだ。

ピアノの周囲はガラス張りになっていて見晴らしがよい。お墓も見えるが、琵琶湖の向こうの比良山脈まで見渡せる。駅や商店街にあるストリートピアノと違い、音量制限もされていないので思う存分演奏することができる。

テラス内は、広いので、時にはバイオリンやギターとのセッションや、ピアノ演奏をバックに歌を唄われる方もいるのだとか。

この日は、明日のコンクールに向けて練習がしたいと、小学生の女の子とお母さんが大津から来て演奏していた。予約もいらずグランドピアノが弾けるので、時々練習しに来るのだそう。

ストリートピアノは全国に増えているが、グランドピアノは少ない。SNSやストリートピアノのサイトで、このピアノを知り全国から弾きに来られる方も多い。

グランドピアノにこだわりたかったという牧副住職の狙いが当たった。

弾きにも行きます

牧副住職自身も時間があれば、ストリートピアノを弾きに各地に足を延ばす。草津市内だけでなく、京都や名古屋、東京へまで行き、袈裟を着てピアノを弾く。こちらの動画は新宿で演奏する牧副住職。

自然と注目は集まる。聴衆や他の演者さんに、お寺のことを話すと、後日、ピアノを弾きにお寺へ来訪してくれることも多いのだそう。そしてその様子をそれぞれのSNSやYouTubeで配信してくれるので、西方寺のピアノや取り組みは、どんどん広まっていく。

ストリートピアノ以外も

西方寺では、他にも学習塾やヨガ、グランドゴルフなどに場所を提供している。地域の様々な年代の人が西方寺に集い、挨拶から会話が生まれ、コミュニティができる。

お寺という場所を通して、人と人、人と地域が結ばれていく。

古くからの檀家さんにも好評だという。

「お寺も時代に合わせて変わっていかないといけない。」牧副住職は話す。

自身も、YouTubeやTwitterを使いこなし積極的に発信している。1110年もの伝統に決してあぐらをかいていない。

ピアノを始めてみたい方を対象とした教室も開催されている(有料:外部講師)。簡単にメロディを弾けるよう工夫されたピアノを使っているので、誰でもすぐにピアノ演奏を楽しめるとのこと。

お祭りも開催!

11月12日(土)には、西方寺祭が開催され、ストリートピアノを使った演奏会も行われる。他にもシェアマーケットや子供抽選会、キッチンカーのグルメなど大人から子供まで楽しめるイベントが盛りだくさんだ。

誰でも参加可能なので、お寺にあるストリートピアノを演奏してみたい人や演奏を聴きたい人、単にお祭りを楽しみたい人など、この機会に是非参加してみては。

地域情報ライター(草津市・栗東市)

「遊ぶように働き、働くように遊ぶ」をモットーに、地域の情報を発信していきます。

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