佐藤天彦名人への挑戦者決まるか――A級順位戦最終日展望
第77期A級順位戦(朝日新聞、毎日新聞主催)は3月1日、静岡市「浮月楼」で最終9回戦が行われる。
佐藤天彦名人(31)への挑戦権レースはここまで7勝1敗の豊島将之二冠(28)がリードしており、6勝2敗で羽生善治九段(48)と広瀬章人竜王(32)が追っている。
降級枠2人のうち1人は0勝8敗の阿久津主悦八段(36)が決まっており、陥落の可能性があるのは2勝6敗、深浦康市九段(47)と3勝5敗、三浦弘行九段(45)の2人。
過去のデータから挑戦権の行方と残留争いを予想してみた。
<豊島将之二冠-久保利明九段の最近10局>*左側が先手
2017年
10月14日
王将戦リーグ
久保●-豊島○
12月8日
A級順位戦
久保○-豊島●
2018年
1月7、8日
王将戦第1局
久保●-豊島○
1月27、28日
王将戦第2局
豊島●-久保○
2月3、4日
王将戦第3局
久保○-豊島●
2月19、20日
王将戦第4局
豊島●-久保○
3月4日
A級順位戦プレーオフ
豊島○-久保●
3月6、7日
王将戦第5局
久保●-豊島○
3月14、15日
王将戦第6局
豊島●-久保○
4月3日
棋聖戦
久保●-豊島○
勢いは豊島二冠だが不安材料も
最終局で豊島二冠と対戦するのは4勝4敗で残留が確定している久保利明九段(43)。上記のデータが示す通り最近10局の直接対決は5勝5敗と互角。
久保九段は2月25日に虎の子のタイトル、王将を失冠したばかりで勢いは豊島二冠にある。ただしプレッシャーの少ない分、久保九段がのびのび指すことも予想され接戦の可能性が高そうだ。
昨年度のA級順位戦でも豊島は首位に立ってから10回戦、11回戦を連敗しプレーオフにもつれた記憶が思い出され、盤石とはいえない状況だ。
もしも豊島が敗れた場合は羽生九段と広瀬竜王が9回戦で対戦しているため、勝者とのプレーオフとなる。過去のケースからは追いついた側が有利な流れで、昨年も6人プレーオフで最後に2連勝した羽生竜王(当時)が挑戦権を得ている。
残留争いは三浦九段有利
<直接対決の成績>
深浦九段1勝-糸谷八段6勝
三浦九段7勝-稲葉八段3勝
残留争いに関してはここまで2勝の深浦九段が苦しい。最終戦の相手糸谷哲郎八段(30)に勝っても、三浦九段が稲葉陽八段(30)に勝つと陥落となる。
ただし降級に関しては同星順位優先の規定があるため、自分(7位)が勝って三浦九段(8位)が敗れると順位一枚の差で逆転残留となる。
過去の戦績が示すように、深浦九段は糸谷八段を苦手にしているようで、三浦九段と稲葉八段の星取りも計算に入れると、三浦九段が昨年に続きA級に踏みとどまる可能性は高そうだ。