大谷翔平のFA権取得は2024年オフに?!あと9日間のシーズン中止で1年間のMLB在籍日数が消滅危機
【MLBと選手会が交渉を再開】
米メディアが報じたところでは、9日連続の労使交渉でも決着できず現地時間の3月1日に開幕2カード全試合のキャンセルを発表したMLBが、2日後の3月3日に選手会と交渉を再開した。
今回はMLBで労使交渉の責任者であるダン・ハーレム氏と、同じく選手会の責任者であるブルース・マイヤー氏を中心に4者会談の形式で、約1.5時間にわたり話し合いを行ったようだ。
会談終了後に選手会はオンライン形式で理事会を開催し、情報共有を図っており、今後は今回の交渉をベースにして、再び本格的な交渉に移行していくことになりそうだ。
【シーズン開幕遅延で生じた新たな議題】
だがロックアウトが長期化し、シーズン開幕がずれ込んでしまったことで、MLBと選手会の間には新たな議題が生じてしまった。FA権取得のカギを握るMLB在籍日数(サービスタイム)に関するものだ。
MLB公式サイトにも記されているように在籍日数には明確な規定があり、通常のシーズンはシーズン開幕から公式戦最終日まで187日間で組まれており、そのうち172日以上26人枠もしくは故障者リストに入っていないと、1年間の在籍日数としてカウントされない。
今回のキャンセルによりすでに7日間が削減されており、今後労使交渉が難航し、さらに9日間以上キャンセルされることになれば、シーズン自体が172日間を割ってしまうのだ。
その際にこの規定が反映されてしまうと、全選手が1年間の在籍日数を得られなくなってしまうわけだ。そうなれば大谷翔平選手のFA権取得は2024年シーズン終了後にずれ込むことになる。
すでに米メディアも、今後選手会は在籍日数についてもMLBと闘っていくことになるだろうと予想している。
【過去の短縮シーズンではMLBが譲歩】
ただ過去の例を見てみると、短縮シーズンになった際のMLBは選手会に譲歩しているようだ。
まず新型コロナウイルスの影響により60試合で実施された2020年シーズンでは、試合数を含めたシーズン運営でMLBと選手会は最後まで合意できなかったものの、在籍日数に関しては1日当たり2.8日分と計算して在籍日数が172日間を超えた選手にはすべて1年間の在籍が与えられている。
また1994年にシーズン途中から実施されたストライキが翌年まで続き、144試合に短縮された1995年シーズンでも、最終的にストライキ期間中に削られた在籍日数分を日数換算に加える決定がなされている。
【MLBにとって在籍日数は重要な交渉戦術】
だからと言って、今回もMLBが選手会に譲歩すると断言できない。
米メディアで報じられたここまでの労使交渉の推移を見てみると、在籍日数に関してはFA権取得の期間短縮や各チームによる在籍日数の意図的操作について協議されてきたが、結局MLBからは選手会が十分に満足するような案が提示されてこなかった。
現状のまま労使交渉が推移していくことになれば、FA権取得は従来通り在籍日数6年のままだし、意図的操作を行ったチームに対し明確な罰則が科せられることはない(逆に操作を行わなかったチームに追加のドラフト指名権が与えられる)。
ただ現時点で確実に言えることは、今後の交渉を有利に進める上でMLBが在籍日数も戦術として利用していくことになることだ。
こちらも今後の労使交渉を見守っていくしかなさそうだ。