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金正恩「娘のジャケットは19万5千円」国民からブーイング

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正恩氏と娘(朝鮮中央通信)

 北朝鮮の「尊敬するお嬢さま」こと、金正恩総書記の娘、キム・ジュエさん。国営の朝鮮中央通信は19日、金正恩氏の国家宇宙開発局の現地指導に同行するジュエさんの写真を配信した。

 また、15日の太陽節(故金日成主席の生誕記念日)に合わせて行われた内閣と国防省対抗のスポーツ大会も観覧する写真を公開するなど、記事では言及しない場合にも、その動向を頻繁に伝えている。

 まだ10歳の彼女だが、国民受けはかなり悪い。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

「金正恩の娘にはもうテレビに出てもらいたくない」

 市民の反応を伝えたのは両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の情報筋。昨年11月の「デビュー」のころは驚きとともに肯定的なリアクションが多かった。それは、ジュエさんが女の子らしい白いコートを着て、派手ではない姿で登場したことと、子どもを決して公の場に出そうとしなかった故金正日総書記とは対照的だったからだ。

 だが時が経つに連れ、彼女のファッションにも変化が生じ、今ではまるで派手に着飾った貴族のよう。主席壇で高位幹部よりも良い待遇を受けているのを見ると、「わたくしはあなたがたとは違いますのよ」と言わんばかりに感じてしまうのだという。

 小中学生からの評価はさらにひどく、「あれが小学生?」「もうテレビ出るのやめたら?」と酷評されている。

 ちなみに、RFAの調査では、国家宇宙開発局の現地指導の際に着ていた白いブラウスは、中国のネットモールAli Expressで2121円、クーポンを使えば1441円で買えるものと非常に似ている。一方、3月の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」、4月の「火星18」の発射実験のときに着ていたものはクリスチャン・ディオールのキッズフードダウンジャケットで、同社の日本公式サイトでは、19万5000円で販売されている。

(参考記事:金正恩氏「敵に極度の不安を」…新型ICBM発射実験を指導※ディオールのジャケットを着た娘の写真も

 彼女の悪評は咸鏡北道(ハムギョンブクト)でも同じようだ。

 現地の情報筋は、最初は物珍しさで関心があったが、今では大人より良い身なりをしていて、金正恩氏に付き添って群衆の前を通り過ぎ、超VIP待遇を受けているのを見ていると不愉快だと述べた。

 親の立場としても、娘が勉強せずに父親の後ばかりついて回るのは、勉強をおろそかにしているように見えて、子どもの教育によくないと考えているようだ。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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