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流行語大賞「ふてほど」はなぜ視聴者をSNS投稿へ向かわせ、毎回トレンド入りしたのか #専門家のまとめ

田辺ユウキ芸能ライター
テレビドラマ『不適切にもほどがある!』で主演をつとめた、阿部サダヲ(写真:西村尚己/アフロ)

その年もっとも流行ったとされる言葉などを選出する『2024ユーキャン新語・流行語大賞』の年間大賞が発表され、「ふてほど」が選ばれた。

「ふてほど」とは、2024年1月期のテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の略称。そんな同作は、教育現場などでの体罰、職場などでのパワハラやセクハラが日常的だった昭和61年から、コンプライアンスで縛られた令和6年にタイムスリップした“昭和男”の小川市郎(阿部サダヲ)らの気持ちの変化を描いた内容だった。

それにしてもなぜ「ふてほど」は、『流行語大賞』に選ばれるほど話題となったのか。当記事であらためて、「ふてほど」はどんな作品だったのか、そして放送のたびにXでトレンド入りするなど大きな反響を呼んだ背景をまとめたい。

ココがポイント

昭和の「当たり前」は令和の「不適切」!? “昭和”から“令和”にタイムスリップしたことで改めて感じる人々とのギャップ
出典:ORICON NEWS 2024/1/26(金)

「『盛りのついたメスゴリラ』って本当に面白いんですけど、すごい悪口だと思って…いま言われたら告発ですよね。ありえない」
出典:スポーツ報知 2024/2/25(日)

「産後の働き方問題」「既読スルーへの疑問」など、現代に刺さる問題を、解像度を高く綿密に描いた
出典:スポニチ Sponichi Annex 2024/12/2(月)

“苦肉の策”が、世代間ギャップの企画なのでは。歌番組でも『昭和世代・平成世代のベストソング』みたいな企画が多くなって
出典:Smart FLASH 2022/6/2(木)

エキスパートの補足・見解

「ふてほど」が高く評価されたのは、当然ながら、作品そのものに力があったからにほかならない。宮藤官九郎による脚本、阿部サダヲら出演者たちの演技などに見ごたえがあったからこそ、多くの視聴者を引きつけた。

一方、毎回、視聴者に「考えるきっかけ」を与えたことが“勝因”にもなった。既読スルー、ルッキズム、不祥事を起こした著名人への対応など、「自分も身に覚えがある」「以前からそのことに疑問や違和感を持っていた」と思わせるテーマを描くことで、視聴者を「なにか言わずにはいられない」という気にさせ、SNS投稿へと向かわせた。そうやって反響を広げていったと考えられる。

また、昭和世代、平成世代、令和世代、Z世代といった世代ごとのカルチャーや出来事をピックアップしたり、ジェネレーションギャップを議題とするバラエティ番組が近年、数多く放送されていることも無関係ではない。そういった番組の背景の一つにあるのが、テレビ離れ。“ジェネレーションギャップ番組”は、「そうそう、こんなことがあった」という共感や、「今ではありえない」という驚きや反感を、幅広い層から得ることができる。つまり多くの視聴者を取り込む可能性を持った内容と言えるかもしれない。

それでも実際のところ、ジェネレーションギャップ番組は当たり外れが大きいようだ。その点「ふてほど」は、ジェネレーションギャップを興味深く描き、それが『流行語大賞』年間大賞を受賞するなどのヒットにつながったのではないか。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga. jp、リアルサウンド、SPICE、ぴあ、大阪芸大公式、集英社オンライン、gooランキング、KEPオンライン、みよか、マガジンサミット、TOKYO TREND NEWS、お笑いファンほか多数。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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