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家で過ごすのが正解! 「温泉大好き」なライターが年末年始の温泉旅行を避けるワケ

高橋一喜温泉ライター/編集者

2023年も残りわずか。年末年始の予定は決まっているだろうか?

温泉ライターを生業にしている筆者は、「もちろん年末年始は温泉地で過ごします」と胸を張りたいところだが、どこにも出かけず自宅で過ごす予定だ。これは例年通りである。

この仕事を始めてからは一度も年末年始を温泉で過ごしたことがない。

というのも、年末年始の温泉旅で嫌な思いをし、それがトラウマになっているからだ。

20代のときの話。年末に急に思い立ち、ひとりで関東のある温泉地に出かけたことがある。せっかくの連休なのだから、温泉にでも入ってゆっくりしたかったのだ。

だが、高速道路は大渋滞。朝早く出たにもかかわらず、20キロ以上の渋滞に巻き込まれ、温泉地に到着したのは午後16時過ぎ。宿でチェックインを済ませたときには、「1時間後に食事です」とのこと。

急かされるように温泉に向かうと、浴室は大混雑。湯船は芋子を洗う状態で、まったく寛げない。多数の人が湯船につかるので、当然湯もくたびれる。

もともと源泉かけ流しのすばらしい湯なのだが、その日にかぎっては最悪のコンディションであった。

結局、温泉をゆっくりと満喫できないまま帰路に就くこととなったが、帰りも渋滞に巻き込まれ、帰宅したのは深夜。温泉で癒やされるはずが、クタクタになってしまったわけだ。

そのとき、「これからは、年末年始は温泉には行かず、家でおとなしくしていよう」と、心に決めたのである。

年末年始の温泉泊をおすすめしない3つの理由

年末年始と温泉旅行はとにかく相性が悪い。特に、筆者がふだん実践している「ソロ温泉」(=ひとりでの温泉旅)との相性は最悪である。

いくつか理由を挙げてみよう。

①絶望的な混雑

先に述べたように、年末年始の温泉地はどこも混雑する。特に人気のある温泉地だと、「何のために温泉に行ったのだろう……」と後悔する可能性がある。

②サービスが落ちるのに割増料金

温泉街は閑古鳥が鳴いているーーというのは普段の平日の話。年末年始は別である。人気の宿は早くから予約で埋まってしまう。

首尾よく予約できたとしても、温泉宿もキャパシティいっぱいに予約を受けているから混雑しがちだし、スタッフのサービスも落ちる。

にもかかわらず、宿泊料金は普段よりも割高である。年末年始は特別料金で3割以上高い設定になっていることが多い。

コスパ(コストパフォーマンス)もタイパ(タイムパフォーマンス)も悪いのだ。

③ひとり客は後回し

致命的なのは、「ソロ温泉」は圧倒的に不利ということだ。

年末年始は放っておいても予約が入るので、ひとり客は後回しにされがちだ。たとえ受け付けていても、びっくりするような料金設定になっていたりする。

たとえ金に糸目をつけず、ソロで出かけたとしても、いつも以上にまわりは家族連れやカップルだらけで、孤独感に襲われることになる。

というわけで、「ソロ温泉」と年末年始は相性が悪い。だから、家でおとなしくしていたほうが無難という結論になる。

それでも年末年始を温泉で過ごすなら……

愚痴っぽいトーンになってしまったが、年末年始を温泉地で過ごすのも風情があってよい。正直、「正月から温泉に入りながらゆっくり箱根駅伝でも見ていたい」という願望もある。

年末年始であっても満足のいく「ソロ温泉」を楽しむにはどうすればよいだろうか。現状、筆者が思いつく選択肢は1つ。

馴染みの湯治宿で連泊することだ。湯治宿の場合、年末年始でも料金設定が変わらないケースが多く、仮に割増料金だとしても比較的リーズナブルに抑えられている。連泊すれば「移動時間のほうが長かった……」と疲弊することもない。

昔ながらの湯治宿は客層も常連が多く落ち着いているので、必要以上に浮かれた雰囲気もない。さすがに初めての湯治宿に連泊するのはリスキーだが、一度宿泊して勝手を知っていれば問題ない。

そうはいっても年末年始の予約はすぐに埋まってしまうので、1年~半年前に予約を入れよう。来年こそは年末年始に温泉地で過ごしてみてはいかがだろうか?

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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