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NY原油6日:ドル安、米原油在庫減少で続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油6月限 前日比0.53ドル高

始値 60.72ドル

高値 62.58ドル

安値 60.54ドル

終値 60.93ドル

米原油在庫の減少を手掛かりに続伸した。

米エネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫(5月1日時点)は、前週比-388万バレルの4億8,703万バレルとなった。製油所向け原油需要は増加傾向を維持しているが、米国内の生産と輸入がともに滞る中、在庫積み増しトレンドにブレーキが掛かり始めている。これは季節トレンドに沿った動きだが、米原油在庫が減少に転じたのは17週間ぶりのことであり、投機筋の物色意欲が強くなった。WTI原油先物の受け渡し場所であるオクラホマ州クッシング地区の原油在庫も僅か1万2,000バレルだが前週に続いて減少しており、シェールオイルの生産調整によって需給緩和圧力はピークを脱するとの期待感が一段と強くなっている。

米原油在庫は前年同期を8,940万バレルも上回った状態にあり、在庫増加トレンドにブレーキが掛かったとしても、需給緩和状態が大きく変わる訳ではない。ただ、マーケットではシェールオイルの生産鈍化や在庫減少といったポジティブ材料に敏感に反応し易い地合にあり、60ドル台回復後も戻り高値更新の地合が続いている。為替相場でドル安傾向も続いている影響も強く、ドル建て原油相場に対する戻り圧力は継続している。

全般的に需給見通しに大きな修正を迫るような材料は見当たらないが、為替市場でドルが直近安値を更新する展開が続く中、ドル建て原油相場に対しては押し上げ圧力が強まり易い環境にある。ドル相場は対ユーロで約2ヶ月ぶりの安値を更新しており、こうした急激なドル安環境で原油相場が押し上げられるのは当然。ただ需給面では、サウジアラビアなどOPECからの供給が高止まりする中、シェールオイル生産が多少鈍化しても、需給緩和状態を否定するのは難しい。ドル安からの支援が続いている間は60ドル台回復の可能性が高い状況になるが、ドル安が一服した際に、現在の値位置を維持できるのかは疑問視している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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