生命保険料の改定で安く入れる保険商品は?加入中の人が受けられるメリットも
◆死亡を保障する保険商品は値下がり
今日から新年度です。人事異動や子どもの進学など、年度変わりを機に暮らしに変化があったという人もいらっしゃるでしょう。
何かと改正や変更が行われることの多い4月ですが、この4月を境に改定されるもののひとつに「生命保険料」が挙げられます。
生命保険料の改定というと、「値上がりする」と捉える人も少なくないはず。ところが今回の改定は、これから加入したい人にとって嬉しいことに、定期保険、終身保険など死亡保障の保険商品がおおむね値下がりします。
比較的最近、死亡保障の保険に加入したという人は、保険会社や年齢・性別によっては、安く入り直せるかもしれません。
保険料が値下がりする理由は、生命保険料算出の基となる「死亡率」が下がっていることにあります。
保険は加入者全体の助け合いで成り立っている仕組みで、万一が生じた契約者の保険金受取人に支払う保険金額と、契約者ひとりひとりから集める保険料との収支が合わなければなりません。仮に、1万人の契約者のうち1年間に10人亡くなるという「予測データ」があったとしたら、1人につき1000万円の保険金を支払う場合、1億円の資金準備が必要。そのためには、契約者ひとりひとりから1年間に1万円集めれば1億円が準備できることになります。
その「予測データ」として生命保険料算出に用いられているのが、公益財団法人日本アクチュアリー会が作成する「標準生命表」。2007年の改定から11年ぶりの改定なのですが、この間に日本人の長寿化が進み死亡率が下がっていることで、支払い保険金額も少なくて済むようになりました。そのため、ひとりひとりから集める保険料も少なくて済む、つまり年齢・性別ごとに算出される保険料が下がったというわけです。
これから死亡保険に入ることを検討している人にとって、これまでより安く入れるのは朗報。
一方で、既加入の人にも死亡率低下の恩恵を受けられる可能性があります。実際の死亡者は少なくなっているわけなので、改定前の標準生命表により計算された保険料で集めた資金額より、支払い保険金額は少なくて済んでいることになります。この差額を「死差益」といいますが、契約者にもっと還元すべく、ここから配当金を増配する動きが大手生保を中心に出ています。
◆生存を保障する保険商品はやや値上がり傾向
死亡率が下がり長寿化しているとなると、長生きで高齢者が増えるわけですから、支払いの確率の高くなる終身医療保険やがん保険、要介護状態を保障する保険の保険料はアップするのが順当です。
しかし、販売競争の激しいこの分野の保険については、小幅なアップで対応している保険会社がほとんど。保険料据え置きにしているところや、商品性をリニューアルして値上がりを抑える工夫をしているところなど対応は様々です。
また、他社の動向を見ながら、この先に競争力のある商品へと時間差で改定を計画しているところもあります。
すでに何らかの医療保険に加入している人は、慌てずそのまま継続するのがベター。新商品に乗り換えるなどの検討は無用です。
医療保険への加入を検討中で値上がり前に入りそびれたという人は、ちょっと残念な気がしているかもしれません。けれども、それほど大きな影響はないわけですから、じっくり比較検討して決めればいいでしょう。