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なぜ? #Facebook詐欺広告 は今もなお放置され続けているのか?消費者庁に聞く

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です。

テレビ東京 WBSのキャスターでもある大江麻理子さんの2023年11月20日の

x.comより

もはや、Facebookで有名人が、いろんな巧妙な手口でユーザーを勧誘する広告は、完全に日常化していて記事にするのも今更な感じさえするほどだ。

しかし、これだけたくさんの世に知られる有名人や著名人が、勝手にしかも無料で広告塔として長期にわたり、利用されているのにまったく対応されないというのは、異常な『ソーシャルメディア』の弊害でしかない。

Facebookいや、Instagramも含めて、Meta社の広告の審査はまったくないに等しいと言わざるを得ない。

■なぜ?Facebookの詐欺広告はなくならないのか?

『Facebook広告被害者の会』とかを作って、日本国政府に動いてもらう時期だと考えている。いや、もうかなり手遅れに近く、肖像権も著作権も隣接権も踏みにじられているに近い。しかも長期間にわたり野放しの状態である。

2023年11月21日には、元ZOZO代表の前澤氏も被害をFacebookJapanに通報600件、削除要請2,000件を送ったにもかからわず、本国のMeta社に言ってくれと言われた。

■Meta社日本法人の味澤将宏代表の見解は?

昨年、2022年9月にメタ社の日本における新オフィスのお披露目の時の会見がこの様子だ。

フリーランスの中山さんの『詐欺広告の質問』に対して、Facebook日本法人の味澤将宏(あじさわ・まさひろ)代表取締役はこう受け答えをしている。

『我々として深刻に受け止めて、対応をしています。AIとそして人力の組み合わせで(詐欺広告を)落としている。ユーザにも報告をお願いしている。我々も努力しているが完全にはできていない。今後、日本において強化する』と答えていた。

しかし、この時の日本法人の対応は、1年後の、今日現在でもまったく機能していない。

味澤将宏代表のx.comにはこんな記事ポストがあった。

https://twitter.com/masajis

つまり、日本向けの広告クライアントを実質対応しているのは、シンガポールにあるMeta社のアジア本社である可能性が高い。日本支社が、日本の広告主をいくら担当し管理していても、仮説としてだが、海外からの日本向け詐欺広告をMetaのアジア本社がガンガン出稿していると考えることもできる。すると、Metaのアジア本社の下部組織である日本支社がいくらアジア本社にクレームを上げても、受け付けていないという図式は理解しやすくなる。アジア本社にリポートしただけで終わったいる可能性が高い。

なので、USの本社に苦情の声を届かせて、そこからアジア本社へという社内のリポートラインのお話で終わっているのかもしれない。

 また、海外での『アドテクベンダ』が、広告を仲介している場合、さらに複雑に契約が入り込んでおり、海外の本当の広告主を突き止めるのが困難になっている。

以上のような状況からも、Meta日本法人が何もできないというのは察することができるが、無策というのはありえないだろう。

■むしろ、Facebookを使わないという選択はあるのか?

SNSの最大のユーザの抵抗は、そのサービスを利用しないという最終手段もある。

x.comに対抗するように、Metaが『Thred』を作ったように、FacebookやInstgramのかわりに移動するという手も考えることができるが、いきなり、Linkedinや、TikTokに移動されてもコミュニケーションの取り方が難しくなってしまう。

広告を見なければよいと考える事もできるが、有料会員になると広告を見ないで済むという発想には、筆者は否定的だ。広告の中でも有益な情報も決して少なくないからだ。ただ、ややこしいのは、一見有益そうに見えて、詐欺広告だったというものだ。当然、詐欺広告は有益そうにみせているからこそ、実にややこしいい。

■デジタル庁はSNSの監督官庁になれないのか?

『デジタルの司令塔』という呼び声も高く、華々しく2021年9月1日にデビューを果たした『デジタル庁』も『マイナンバー問題』では、2023年9月20日に政府の個人情報保護委員会行政指導される立場となってしまった。

むしろデジタル時代の諸問題に個別に対応してくれるような部門でもないのが残念だ。

そこで筆者も、考えを変えて、Googleの独占禁止法違反被疑行為で2023年10月23日動いた『公正取引委員会』に『Facebookの詐欺広告』の件で連絡してみた。

『不当景品類及び不当表示防止法』に値するのではないかという見解からだ。

そして、公正取引委員会からは、景品表示法は、公正取引委員会から消費者庁に全面移管されたので、消費者庁の担当部署にお話を伺った。

出典:消費者庁・公正取引委員会と公正取引協議会
出典:消費者庁・公正取引委員会と公正取引協議会

■消費者庁に意見をうかがっても、情報提供しか手段がなかった

『消費者庁』としては、景品表示上の法律上についての事業者からの確認ということで、ようやく見解が聞けた。

・肖像権に関しては個別の弁護士相談。

・不当表示の問題については情報提供をいただいた上で、捜査するかどうかを決める。

・しかし、違反や経過措置については一切お伝えできない仕様となっている。

・海外の事業者であっても、日本国内での国内での誤認をさせたということでは国内での是正による行政指導となる。

基本的に一消費者の立場でできるのは、公正取引委員会では『相談・申告・情報提供』に限られており、それらに対して何のフィードバックが得られるものでない。

『申出に基づく調査の状況、結果については、お答えしておりませんのであらかじめご了承ください』

公正取引委員会 相談・申告・情報提供・手続等窓口

https://www.jftc.go.jp/soudan/

また、『消費者庁』においても、『デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律に基づく申出』がある。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/digital_platform/inquiry/

しかし、こちらも、『いただいた情報に関して、調査経過、調査結果等のお問い合わせには一切お答えできませんので、御理解をお願いいたします』などとあり、何のフィードバックが得られないというので、これらの申告をするに対するモチベーションが起きにくい個人的に無意味な申告制度となっている。

一応、申告はすれど、何も申告者にはフィードバックがない状態は、報われることもない。

■個人的な消費生活での問題は、『消費者ホットライン188』

そこで、消費生活での個人の相談は局番なしの『消費者ホットライン188』であるが、結局はローカルな郵便番号で担当地域に電話がナビダイヤルで振られ、210秒(3分半)ごとに10円のナビダイヤル料金がかかるという仕様である。

それであれば、最初から都道府県ごとの消費生活センターにかけたほうが通話料金は安い。

https://www.kokusen.go.jp/map/index.html

 こちらも、あくまでも相談とアドバイスなので、個別の事案については、口頭で相談にはのってくれるが、解決にはつながりにくい。ましてや、Facebookの詐欺広告の解決には到底つながらず、結局は、詐欺にひっかからないように注意をするしかないのが現状のようだ。

■最終的には広告を見ないようにするしかないのか?

Facebook広告の被害にあわないように注意するのだが、著名人が言いそうなことに、ついつい注意を注いでしまうということもある。

最近の傾向は、その肖像権を悪用された著名人が語りそうな文脈で『広告』が表示されるようになっている。

出典:Facebook広告
出典:Facebook広告

出典:Facebook広告
出典:Facebook広告

出典:Facebook広告
出典:Facebook広告

出典:Facebook広告
出典:Facebook広告

タレントの私生活にまでいたって書かれているので、これはもう悪質としか思えない。

まずは、媒体で記事で書いている立場で言うのははばかれるが、広告をクリックしないというのも一つの解決策だ。スルーすべきなのだ。クリックすると、興味があるとアルゴリズム側に感知されて似たような広告がますます表示されるという蟻地獄の絵図となってしまうからだ。

こうなると、むしろ広告業界側からの自主的勧告みたいな圧力をかけられるのかもしれない。誰もがインターネット広告を危険と認識するようになっては、広告業界そのものが危うくなるからだ。今や、インターネット広告は広告業界最大の金のなる木だからだ。

JAAA 一般社団法人 日本広告業協会 https://www.jaaa.ne.jp/ というような広告会社150社のメンバーからMeta社に勧告するなどはどうだろうか?

いずれにしても現段階では、Facebookの詐欺広告を撲滅するためには、広告出稿が審査もされずに自動的に出稿されて、金銭がMeta社に対して支払われている事実に対して、国ごとのリージョンを超えて、国際的な問題として対応を進めていただくしかないようだ。

政府も野党も、このようなユーザとしての日々の疑問についてもっと、注意喚起をしながら、メディア業界そのものの正しいあり方を指導してほしいものだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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