塾や家庭教師費用は公立中3、私立小6がピーク
学校で良い成績を取り、望みの学校に進学させるため、保護者の多くは子供を塾に通わせ、家庭教師を雇っている。これらの費用は平均でどれだけの額になるのだろうか。文部科学省発表による「子供の学習費調査」を基に、その実情を探る。
子供の学習にかかる費用は「学習費総額」と呼ばれている。これは「学校教育費(授業料やPTA会費、制服、遠足代など)」「学校給食費」「学校外活動費(家庭内学習費や各種塾月謝、図書費など)」から構成されている。そして「家庭内学習費(参考書や百科事典など)」「家庭教師費」「学習塾費」など、今回チェックする項目は合わせて「補助学習費」と呼ばれ、「学校外活動費」に含まれている。
この「補助学習費」だが、全般的には私立の方が高めの結果が出ている。特に小学校高学年では、私立の額が飛び出ている。
「学習費総額」のように、一律で「私立の方が高く、公立の方が安い」わけでは無い。特に中学校では公立・私立の差は縮まり、2年生・3年生では公私の逆転現象が起きている。この逆転現象の理由は次に示す、「補助学習費」の詳細を区分化した上での積み上げグラフで分かる。
これは私立・公立別に作っているが、縦軸は同じ水準で仕切りをしているので、長さでの単純比較が可能となっている。
私立では小学校高学年で「学習塾費用」がかさみ、「補助学習費」全体をかさ上げする要因となっている。さらに小学5年・6年では「家庭教師費等」も増え、節目の50万円を超えている。
一方公立では小学生時のピークは無く、中学生になってからの方が「学習塾費」への額面が大きくなる。中学3年では10万円単位での積上げがあり、高校までをも合わせて最大額、さらには同学年の私立よりも大きな金額となる。中学2年生でも、この「学習塾費」の上昇ぶりは著しく、「補助学習費」総額で私立をわずかではあるが上回る。
中学校2年・3年における公私逆転現象は「高校受験のためには公立中学3年生は私立と比べ、学習塾で学校の学習内容を補完する必要性が高い、と多くの保護者が考えている」とすれば道理が通る。高校は中学までと違なり義務教育課程から外れるため、公立中学生を持つ保護者も、ここぞとばかりに気合を入れる、いや入れざるを得ない。ラフな表現をすれば「私立学校生の中学受験の難関が、公立学校生では高校受験で到来する」と考えれば、納得もいく。
当然だが家庭教師費用、学習塾費用を上乗せすれば、必ず思い通りの学校に合格するわけではない。しかしその確率を上げる、一番容易で確実、そして保護者も子供も納得できる(説得力のある)手法。もっともこの額の積み上げは、子供よりもむしろ保護者たちの想いと期待が反映されている数字なのかもしれない。
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