支払いは「au PAYのみ」のキャッシュレス学園祭が話題に KDDIに背景を聞いてみた
最近、これまで現金が一般的だった学園祭において、キャッシュレス決済を導入する事例が出てきているようです。
その中で、「au PAYのみ」で現金が使えない学園祭の存在がSNSで話題になりました。どのような背景があるのか、運営会社に聞いてみました。
KDDIの「キャッシュレス学園祭」とは
KDDIによれば、2022年ごろに学園祭における非接触決済を導入したいとの学校側からの相談を受け、au PAYの提供が実現したといいます。
同社のサイトには、2022年の日本大学三島高等学校・中学校での事例や、2023年の兵庫県立芦屋高等学校での事例が紹介されています。
KDDIとしては「キャッシュレス学園祭」という名前でサービスを提供しており、2024年6月には5府県、14校が開催するなど、導入事例が増えています。
経緯としては、学校側からの問い合わせで始まるケースが多いとのこと。学校側が支払う料金は非公開としており、「パッケージとしての提供になり、規模によって変わってくる」(KDDI広報)と説明しています。
その中で、学園祭の模擬店で「現金が使えない」状態になっている点については、KDDI側で現金不可とすることを指定したり、推奨したりはしていないといいます。
実際に現金不可としているのは学校側の判断によるもので、金融教育の一環として、また現金を管理するリスクを減らしたいといった声があるようです。
また、KDDIがサービスとして提供するのはau PAYのみですが、学校側の判断でau PAY以外のキャッシュレス決済手段を導入することも可能としています。
ただ、先行事例を見てみると、決済手段をau PAYのみに限定することで、各店舗の売上をリアルタイムに把握しやすいといったメリットが生まれていることがうかがえます。
一般の商店であれば、売上機会を逃さないために現金を含む複数の決済手段に対応したいところですが、そこは学園祭の模擬店ということで、教育面での効果を考慮している印象を受けます。
サービスの建て付けとしては、学校がau PAYの加盟店になる仕組みとのこと。決済手数料や売上金の入金サイクルについても、通常のau PAY加盟店と同じ扱いになるようです。
売上を確認するための端末や通信回線は学校側で用意する必要があるものの、KDDIは学園祭にau PAYのブースを設けるなど、さまざまな支援を受けられるようです。
学校側からはau PAYの導入だけでなく、金融教育の授業をしてほしいといった依頼もあるとのこと。キャッシュレスだけでなく金融や投資への理解を深めるきっかけにもなりそうです。
店舗以外にも広がるキャッシュレス
コード決済の中でも、利用者が読み取る方式であれば、QRコードとスマホがあれば導入できることから設備投資が難しい中小事業者に導入が進んできました。
学園祭の模擬店といえば、校内のWi-Fiが届かないとか、電源を取れないなどキャッシュレスに過酷な環境といえるだけに、スマホで完結するコード決済には打って付けという印象があります。
コード決済の広がりという点では、PayPayは自治会や町内会への導入を発表しています。これまで現金が中心だったと「集金」や「お祭り」のキャッシュレス化が期待されます。
一方、iPhoneを決済端末として使える「Tap to Pay」が日本でも始まるなど、中小事業者にタッチ決済を広めようという動きがあることから、コード決済とタッチ決済の競争も面白くなりそうです。