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イタリア人記者が語る「今後、サムライブルーの中心となる選手」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
ファニ記者が大きな可能性を感じる植田直通(背番号2)(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 イタリアで最も権威のあるスポーツ紙『ガゼッタ・デル・スポルト』。2012年より、その『ガゼッタ・デル・スポルト』紙の記者としてセリエAを取材し続けているアンドレア・ファニ氏に、今回のサムライブルーについて訊ねた。

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 日本vs.ベルギー戦は、非常にドラマティックでした。同時にエキサイティングなゲームでもありました。日本には勝つチャンスがありましたが、ロスタイムに試合を決めたベルギーは強かった。日本代表は「これがサッカーだ」ということを学んだのではないでしょうか。

 個人的に、日本人選手の中で印象に残ったのは乾貴士と原口元気です。とはいえ、彼らがゴールしたからではありません。ひた向きにボールを追う姿とクオリティの高さ、勇敢さに目を奪われました。彼ら2人の強みは、Jリーグではなく、ヨーロッパのクラブに所属していることにあります。日々、激しい競争のなかに身を置いているからこそ、大舞台でいい仕事ができたことは間違いありません。

 日本代表チームが、控室を塵一つない状態にまで掃除してから引き上げていくことは、イタリアでも話題になりました。素晴らしいとしか言い様がありませんね。世界中の人が、日本人という民族に尊敬の目を向けています。

 日本はベスト16にまで残ったのですから、ロシアワールドカップは満足できる結果だったのではありませんか? 我がイタリアは優勝経験があるものの、ヨーロッパ予選で敗れてしまいました…。出場したからこそ、学ぶものがあります。そうした経験というのは、後に計り知れない財産になるのです。

 さて、私が最も期待する日本代表選手について述べましょう。今回のロシアでプレーする機会は無かったのですが、植田直通には私も含めた多くのイタリア人ジャーナリストが熱い視線を送っています。植田は、イタリア、スペイン、ドイツ、イングランドといったTOPレベルのリーグで活躍できる逸材ですよ。

 彼のパワーとスピードは、ヨーロッパでも非常に魅力的に映ります。ワールドカップ開幕前の6月12日に行われた日本vs.パラグアイ戦の模様だけでなく、植田の情報はイタリアにも伝わって来ています。

 「若くて可能性のあるDF」として植田はヨーロッパで戦い、もっともっと成長してほしいですね。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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