最年少棋士、仲邑菫初段の活躍はいつ?――デビュー戦黒星も数年後のタイトルに期待
4月22日、大阪市北区の日本棋院関西総本部で第29期竜星戦(囲碁将棋チャンネル主催)予選B、大森らん初段(16)-仲邑菫初段(10)戦が打たれ174手で白番の大森初段が中押し勝ちした。
仲邑初段は小学5年生、史上最年少棋士としてのデビュー戦で当日は約40社100人の報道陣が詰めかける中の対局となったが、中盤で形勢を損ね期待に応えることはできなかった。
大森初段にとってもこの日はプロ初対局、対戦相手ばかりに注目が集まるプレッシャーをはねのけ勝ったことは大きな自信になっただろう。
トップ棋士を目指すなら若いほど有利
囲碁は何歳から始めても上達が可能な「頭脳スポーツ」で、還暦を過ぎて覚えアマ高段に上った人もいる。とはいえプロ、なかでもトップを目指すならば始めるのは早ければ早い方がよい。
仲邑初段が碁を覚えたのは3歳。二度の七冠制覇を達成している井山裕太四冠(29)は5歳で碁を覚え、小学2年生の時に少年少女囲碁大会で全国優勝、12歳中学1年生で入段(プロの初段になること)し棋士としての歩みが始まった。
現在女流棋界の頂点に立つ藤沢里菜女流本因坊(20)は仲邑初段の前の最年少記録保持者で、6歳で碁を覚え11歳6カ月で入段した。
入段からタイトルまでは数年の経験が必要
ただしタイトルに手が届くまでには井山四冠でも最初の棋戦優勝が阿含桐山杯の16歳4カ月、初の七大タイトルである名人獲得は20歳4カ月。藤沢女流本因坊も初タイトルの会津中央病院杯が15歳9カ月、女流本因坊獲得は16歳1カ月と、プロになってから数年の歳月を要している。
今回の対局前、関西総本部所属の高段棋士に仲邑初段の実力をたずねたところ「早碁(持ち時間の短い対局)なら自分でも負かされる可能性があるくらい強い」と話してくれた。実際、プロやプロ志望者が参加する研究会などでは仲邑初段が格上に勝つこともあるようだ。
だが、そこは紙一重の差が明暗を分ける勝負の世界。仲邑初段はしばらくのあいだ厳しいプロの洗礼を受け、公式戦では思うように勝ち星が伸びないだろう。
数年後、可能ならば10代前半でまずは女流棋戦のタイトル争いに加わり10年以内、10代後半で男性棋士と互角に渡り合って日本を代表する棋士に成長することを期待している。