折紙作家と一緒に「少し難しい折紙」にチャレンジしませんか。丸亀市市民交流活動センター「マルタス」で８月２７日、香川県三豊市在住の折紙作家、勝川東さんによるワークショップが開かれます。今回は、３つのワークショップが開催されますが、それぞれの時間に学べる折紙の魅力を勝川さんに聞きました。

名作絵本「花さき山」の世界を折る

最初に３つのワークショップの内容を確認しましょう。

親子で身近な動物を折る「はじめてから挑戦する動物の折紙」（午後１時から午後２時、定員６組18人）、小学生以上の人を対象にした「小学校算数につながる多角形の折紙」（午後２時半から午後３時半、定員６組18人）、大人も楽しめる「少し難しい『花さき山』の花の折紙」（午後４時から午後５時、定員６組12人）が準備されています。

この中から、まず大人も参加できる「少し難しい『花さき山』の花の折紙」について、勝川さんに教えてもらいました。

「花さき山」といえば、切り絵作家の滝平二郎さんが挿絵を担当している名作絵本。主人公の少女が「やさしいことをすると美しい花が一つ咲く」というストーリーですが、このワークショップでは、絵本に登場する花を折っていきます。折り方は、勝川さんが考案したオリジナルで、難易度は中くらいだそうです。

折り方を教えてくれるので、子どもも安心して参加できるとのこと。希望者は、花さき山のイラストをプリントした折紙で折ることもできます。出来上がりの印象が一般的な折紙とは異なるので、２倍楽しい時間になりそうですね。

算数につながる折紙とは

次に気になったのは、「小学校算数につながる多角形の折紙」。三角形から八角形までの多角形を折紙で折ることで、ゆくゆくは幾何学につながる算数の世界を体験することができます。

勝川さんは「角（かく）を習っていない小学校低学年の子どもさんも、折紙を通して多角形の考え方を体験できます。算数の時間に習った時に、折紙で折ったことを思い出してくれると思います」と話した。

また、「はじめてから挑戦する動物の折紙」では、キツネやミミズク、ウサギなどから３種類の動物を折ります。可愛い柄の折紙で動物を折る体験は、自然界への興味関心を芽生えさせる効果もありそうです。

東大進学の学力は「折紙がベースに」

勝川さんは、千葉県柏市出身で東京大学法学部に進学。子どもの頃から塾には通っていないそうですが、自身の体験を踏まえて「折紙をすると地頭が良い子になる」という持論があります。

「子どもの頃から折紙をしていたことが、私の学力の基礎になったと思います。折紙の本を読みながら、書いてある内容を正確に再現し、少しずつ難しい折紙に挑戦していったことで非認知能力が身につきました」と話しました。非認知能力とは、教育界で注目されているテストでは測定できない力のことです。

今回のワークショップでは、勝川さんの体験をもとに「学校での学び」につながる内容も準備されています。

そこで、子どもの頃に折紙を通して、勝川さんが身につけた力を教えてもらいました。文章と説明図を読みながら真似して再現する力・試行錯誤する力・集中力・審美眼・幾何学の要素などなど。

勝川さんは東大を卒業後、会社員として働きながら折紙作家の活動を本格化させました。これまでにアートの領域に達した作品を数多く生み出しています。瀬戸内国際芸術祭の関連イベントに出品したり、ワークショップを通して子どもたちに折紙の面白さを伝える活動にも積極的に携わっています。

「大人も折紙をしてみたら、頭が良くなりますか」と勝川さんに聞いてみました。すると、「そうですね。頭の体操になるので、パズルをするような感覚で取り組んでもらえますよ」と話していました。

ワークショップの参加費は、いずれも親子１組1000円。大人は一人でも参加できます。参加希望者は、会場のマルタスに電話かオンラインで事前予約する必要があります。

勝川さんは「普段はなかなか折紙に触れることがないと思うので、ワークショップが折紙を楽しむきっかけになったら嬉しいです。スマートフォンから離れて、アナログの世界に没頭してみると新しい発見があると思います」と話していました。

今週末は、親子で折紙の世界を楽しんでみませんか。折紙の世界の深さや醍醐味が分かる時間になるはずです。