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ホークスのサヨナラ勝利は“超”珍記録! 「サヨナラ振り逃げ」のなぜ?

田尻耕太郎スポーツライター
5月6日の「ソフトバンク×日本ハム」の公式スコア
5月6日の「ソフトバンク×日本ハム」の公式スコア

打者松田の記録は「三振」

え、記録は何なの?? ヤフオクドームの記者席はみんな大混乱になりました。

5月6日(火・振休)の「ソフトバンク×日本ハム」は非常に珍しいサヨナラ劇となりました。1対1の9回裏、ソフトバンクの攻撃。1死二、三塁で打席は松田。日本ハムのマウンドは抑えの増井。カウント1ボール2ストライクからの4球目、増井の投じたフォークはワンバウンドとなりましたが、松田は空振り。しかし、捕手が止めることが出来ずボールはバックネット方向へ転がり、三塁走者がサヨナラのホームを踏みました。

ベンチを飛び出したソフトバンクナインは、生還した走者のもとに駆け寄って大喜び。三振した松田はちょっと気まずそうにしながらも勝利の輪に加わっていました。

さて、試合が終わると、記者席には公式記録員がつけたスコアシートのコピーが毎試合届きます。それによれば、松田の記録は三振なのですがアウトカウントは記録されていません。そして、増井の取ったアウトも1つだけ。『サヨナラ暴投』ならばいくつか例があるのですが、『サヨナラ振り逃げ』となれば話は別です。

記録員の見解は

公認野球規則の「6・05」によれば、「第三ストライクと宣告された投球を、キャッチャーが正規に捕球した場合」に打者がアウトになるとあります。正規の捕球とは投球を地面に落ちる前(つまりノーバウンド)で抑えたとき。ワンバウンド投球などは、第三ストライクで「三振」となりますが、「アウト」にするためには打者にタッチするか、打者が一塁へ到達する前に送球しなければなりません(無死もしくは1死でランナー一塁の場合は適用されない)。

つまり、打者はそれより早く一塁に到達すれば「振り逃げ」となります。しかし、松田は一塁には走っていませんでした。「逃げ」ていないんです。

では、なぜ『サヨナラ振り逃げ』なのか??

伝わってきた話を総合すると以下のとおり。

「記録員の判断だが、日本ハム側は打者松田にタッチをしに行くこともボールを一塁に転送することもなくアウトにすることを放棄。一方、松田も一塁に到達しなかったが、第2アウトが成立する前にランナーがホームに生還し試合が成立した」

という見解だったようです。

ちなみに『サヨナラ振り逃げ』はプロ野球史上2度めらしいです。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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