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ここまでトライ奪取率100%!現役引退までファイナルカウントダウンに入った福岡堅樹の勇姿を見逃すな

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
福岡堅樹選手の勇姿が見られるのも残りわずかだ(筆者撮影)

【福岡選手のシーズン終了までのプレー続行が決定】

 トップリーグのパナソニックが3月29日に、「福岡堅樹選手の今後についてのお知らせ」という発表をしたことで、パナソニック・ファンのみならず日本中のラグビー・ファンが歓喜したのではないだろうか。

 すでに今シーズン限りで現役引退を表明していた福岡選手だが、シーズン第1節終了後に順天堂大学医学部の合格を明らかにしており、新年度を迎え医学生として新たなスタートを切る中で、4月以降もトップリーグに参戦するのかどうか、彼の動向に関心が集まっていた。

 チームの発表とは別に、福岡選手自身もTwitter上で今シーズン最後までプレーを続けることを正式表明し、5月まではトップリーグと大学を両立させていくことになった。

【ラグビー選手としてピークの状態で現役引退】

 2019年のラグビーW杯で目覚ましい活躍を見せ、「大会を彩った7人の傑出したプレーヤー」の1人にも選出。大会終了後も多くのメディアが福岡選手を取り上げる中で、彼が医学部進学という目標を持ち、それと同時に現役引退する意向であることは広く知れ渡っていた。

 だが現在28歳の福岡選手はラグビー選手としてピークを迎えており、2023年のフランス大会でも日本代表のエースとして期待できる存在なだけに、彼の現役引退を惜しむ声は今も続いているように思う。

 だからこそラグビー・ファンは、福岡選手が今シーズン最後までプレーするという決断をしてくれたことを心から喜んでいるのだ。

3月14日のNTTドコモ戦でも貴重なトライを奪っている(筆者撮影)
3月14日のNTTドコモ戦でも貴重なトライを奪っている(筆者撮影)

【今季は全試合で計6個のトライを奪取】

 福岡選手の決断は、ファンのみならずトップリーグ優勝を目指しているチームにとっても大歓迎すべきものだ。

 今シーズンの福岡選手はここまで4試合に出場し、全試合でトライを奪う活躍をみせ、トライ数6もチーム単独トップだ。もちろんチーム最大のポイントゲッターをシーズン途中で失うのは間違いなく大きな損失であり、それが回避できたのだからコーチ陣も大喜びしているに違いない。

 チームメイトも、福岡選手の存在感の大きさを感じ取っている。今シーズンは5試合中4試合で福岡選手とウィングのコンビを組んでいる竹山晃暉選手は、以下のように話している。

 「チームに日本代表の顔となるウィングがいるというのは凄く刺激的です。僕は長く(一緒に)プレーしていないんですけど、吸収できることはたくさんあると思います。

 いつも堅樹さんと話すんですけど、2つの翼(ウィング)と表現していまして、片方の翼だけが活躍するというふうにならないように、僕も負けないように刺激を受けながら試合をしたり練習したりしているので、彼が医者になるということで、今年は優勝して送り出せるようにと思っています」

 今シーズンの竹山選手は、ここまでチーム2位タイの4トライを記録しており、まさに彼の言葉通り、福岡選手の背中を追いかけながら全力プレーを続けているのだろう。

【ファイナルカウントダウンが始まった】

 3月28日のNEC戦では、今シーズン初のハットトリックを達成した福岡選手。試合後の彼のコメントは、現役生活がもうすぐ終えようとしている選手とは思えない、プレーの向上を目指す内容だった。

 「自分の能力と判断を客観的に見ながら、(トライが)取れるシチュエーション、いけないシチュエーションというのを自分の中で経験として積み重ね、これから出られる試合で確実にトライを取れるようなプレーを続けたいなと思います」

 故障など不測の事態がない限り、福岡選手は今後のグラウンドに立ち続けることになるだろう。だがリーグ戦はあと2試合を残すのみで、4月17日からはプレーオフトーナメントに移行するため、チームが敗れた時点で福岡選手の現役生活は終わってしまうことになる。

 いよいよファイナルカウントダウンが始まった福岡選手のプレーを、是非自分の目に焼き付けて欲しい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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