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台風22号の北上を、季節外れに強い太平洋高気圧がブロックか

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

異例だった台風21号のコース取り

台風21号のコースとその後の低気圧の動き(ウェザーマップ発表を筆者が加工)
台風21号のコースとその後の低気圧の動き(ウェザーマップ発表を筆者が加工)

上図は、先日の台風21号のコースとその後の低気圧の動きを表したものです。台風21号は非常に強い勢力で台湾を直撃し、1日(金)午後9時には上海沖で前線を伴う温帯低気圧に変わりました。ただその低気圧は東進し、2日(土)午前9時には、九州南部付近に到達しました。結果的には台湾があったがために形が崩れ、温帯低気圧に姿が変わりましたが、その位相は九州へ到達したことになり、11月としては、極めて珍しいコース取りとなりました。

もし台風のまま九州へ上陸していたら、11月としては、1990年11月30日に和歌山県に上陸した台風28号以来、34年ぶり2度目のこととなっていましたが、低気圧に姿が変わったために、この記録は幻となった形です。

とはいえ、もと台風だった低気圧は、やはり際立った暖湿気を伴って、本州付近を通過したため、西日本では総雨量が200ミリから300ミリ以上に達し、また九州から関東にかけて、1時間に100ミリ前後の猛烈な雨が降るなど、まるで梅雨時を思わせるような11月らしからぬ大雨に見舞われました。

そして、きょう4日(月)午前3時に、日本のはるか南で、新たな台風が発生しました。この台風も沖縄の南へ北上してきそうですが、果たして、その後の進路はどうなるでしょうか。

台風22号は沖縄の南へ

台風22号の予報円(ウェザーマップ)
台風22号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

きょう4日(月)午前3時に、日本のはるか南で、台風22号が発生しました。今後は、タイトル画像にある通り、太平洋高気圧の縁辺を足早に北西方向へ進み、あさって6日(水)午前9時には、強い勢力で、沖縄の南、北緯20度近くまで北上してくる見込みです。ただその後は北西方向から西寄りにシフトして、週末にかけて、南シナ海へ進む予報円となっています。

季節外れに強い太平洋高気圧がブロックか

太平洋高気圧と台風22号の予想(ウェザーマップ)
太平洋高気圧と台風22号の予想(ウェザーマップ)

上図は7日(木)朝の太平洋高気圧と台風22号の予想を表したものです。通常今の時期ならば、太平洋高気圧は沖縄付近から退いていることが多いものですが、先日の台風21号と同様に、依然として沖縄付近に張り出していて、季節外れに強い状態です。

ただ台風21号と異なるのは、沖縄付近から中国大陸南部まで覆っているために、台風21号のように台湾付近を北上することも出来ずに、ゆっくりと沖縄や台湾の南を西進して、南シナ海に入る計算が多数を占めている状態です。日本や諸外国のモデルでは、沖縄付近を北上してくる割合は、1割以下の状態となっていますので、今のところ、台風21号のように、日本付近に大きく影響する可能性は低いとみられます。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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